三菱電機、事業拡大へ上積みも ~人事担当者インタビュー(4)

2010/12/16付
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2012年春の新卒を対象にした企業による採用活動がスタートした。景気の先行き不透明感が強まるなかで採用戦略をどう描くのか、各社の人事担当者に聞く。今回は三菱電機の橋本法知・常務執行役人事部長

――2011年度に技術系で530人と国内最多クラスの採用を実施する。12年度の計画は。

三菱電機の橋本法知・常務執行役人事部長

三菱電機の橋本法知・常務執行役人事部長

「当社の基本方針は安定的に採用を継続することだ。景気動向や業績の変化で採用を大幅に増減させれば、将来にツケが回る。世代間の断層ができると組織の安定感を失いかねない。1970年代の石油危機後や2000年代前半のIT(情報技術)バブル崩壊後には採用を減らしたが、最近はリーマン・ショック後も人数を絞らなかった」

「07年から始まった団塊世代の退職が続くこともあり、当面は事務系の約200人、中途の約300人を含めて年1000人規模は必要だ。12年度はさらに上積みするかもしれない」

――その理由は。

「連結売上高を13年度までに4兆円以上にする(10年度見込みは3兆5600億円)など、リーマン・ショック前の水準に戻すのが当面の目標だ。これまで社員全体の数はほぼ横ばいだったが、現状維持での拡大には限界がある。どの程度の追加の人材が必要かを各事業部で検討しているところで、来年2~3月には全体の採用計画を決める」

――総合電機メーカーの事業拡大にはどんな人材が必要か。

「環境関連などで新事業を増やしているため、専門分野は広がっている。スマートグリッド技術や電力制御に使うパワー半導体、空調システムやFA(ファクトリーオートメーション)などに力を入れている。電機だけでなく機械、情報から化学、物理まで理系の各分野で専門知識をそれぞれ持つ多様な人材が必要だ」

――景気低迷で採用は買い手市場と言われる。

「新卒は必要な人数を集められているが、(質の面で)本当に買い手市場かは疑問だ。学生は就職活動に熱心だが、働くということを真剣に考えているのか不審に思うことがある。個性を主張するだけでなく、組織の中で行動し、ライバル他社と競争する気構えを持っているか。採用面接でも企業人として行動できる素地を備えているかを重点的に見ている」

「一方で中途採用は充足率が低い。景気回復局面に入り、各社が能力の高い人材をなかなか手放さなくなっている。全体的に流動する人材の質が下がってきた感じはある」

――新人教育の考え方は。

「当社では技術系の新卒採用者の約7割は内定時に配属先を決めている。より学生時代の専門性を生かすためだが、教育も手厚く実施している。入社から3年間は『基礎的育成期間』。1年目は研修生との位置づけで職場内訓練(OJT)を中心に訓練する」

「2~3年目は本格的に担当の仕事を持ってもらいながら、職場の管理者が1人ずつ適性をチェックする。優秀な人材を引き留めるには入社後のケアも必要だ。当社では入社3年目までの離職率を4%台と低く抑えられている」

――学生へのアピール面で課題は。

「重電会社のイメージを脱却する必要がある。幅広い分野で新事業に取り組んでいるが、それがうまく伝わっていない面もある。衛星システムや太陽光発電から、3D(3次元)テレビや蒸気レス炊飯器まで新技術をテーマとした広告を展開し、世の中の進歩に貢献する企業としてのイメージをアピールしていく」

(聞き手は西岡貴司)

[日経産業新聞2010年11月19日付の記事を再構成しました]

次回は12月20日に掲載します。
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