100円ショップで買っていいもの、いけないもの
スーパーやコンビニエンスストアなど他の小売店ではなく、100円ショップで買ったほうが得な商品はいったい何か。100円ショップを使いこなすためには、この点の見極めが重要だ。
そこで今回、100円ショップの利用に関して、日経トレンディネットを使ったアンケート調査(有効回答378人)と、実際に100円ショップの商品を見ながら座談会形式で話を聞く聞き取り調査を、それぞれ実施。100円ショップで「買っていいもの悪いもの」を自由に記述してもらい、それらを点数化して集計し、ランキング形式で示した。
アンケート調査は、10月2~11日に日経トレンディネット上で無記名で実施し、有効回答378人を基に集計した。聞き取り調査は10月14日に4人(20代男性1人、20代女性1人、30代女性2人)、15日に3人(30代女性2人、50代女性1人)から100円ショップについての聞き取り調査を実施し、集計した。
同じ種類の商品でもユーザーによって評価が異なるため、今回は商品ごとに、「買っていいもの」としての得点から「失敗したもの」としての得点を差し引いて最終的な点数を算出した。併せて、ランキング入りした商品について、どういう点が良いのか、あるいはどこが十分でないのかなど、アンケート調査や聞き取り調査に寄せられたユーザーの生の声も掲載。加えて、検証も試みた。
最も「買っていいもの」は、あの定番商品
100円ショップで「買っていいもの」として最も支持の高かったのは、収納用プラスチックケースだった。戸棚や押し入れ、冷蔵庫の中などはもちろん、机の上の小物を整理したり、室内にあふれるCDケースや文庫本をまとめるのにも役立つ。2位にランクインしたチャック付き透明収納袋ともども、100円ショップが得意な"リサイズ"でユーザーの支持を得てきた商品だ。

この場合のリサイズとは、売れた商品の大きさを少しずつ変えて品ぞろえを増やすという意味。プラスチックケースも透明収納袋も、さまざまなサイズが豊富にそろっており、ユーザーは用途によって使い分けができる。
3位にランクインしたのは、USBハブやスマートフォン向け充電ケーブル。性能にやや不安を覚える向きもあるが、仕事で急に必要になったときなど、短期の利用であれば役立つものが多い。家電量販店などでは1000円近いことを考えれば、及第点だろう。
4位は陶器の食器。最近は、以前ほど安さを感じない白一色の陶器の食器を扱う100円ショップが増えた。値段は安くても見た目は悪くないため、「使っているうちに汚れてきたら、捨てて新しいものを買うと割り切って使うユーザーが増えている」(前出の浜岡氏)。5位の老眼鏡は、「いくつも用意して家のあちこちに置いておく」(50代男性)という使われ方が多い。
変わり種は女子高生に人気の付けまつげ。クラシックバレエや演劇で必要な人にも好評だ。「専門店で買うと数千円かかるが、100円ショップの商品を3つ使えば、十分役に立つ」(20代女性)。また、「透明なiPhoneケースを買って自分でシールを貼り、自分用にしたりプレゼントにしたりする」(20代女性)という利用の仕方もある。こちらも費用対効果は高い。
買って「失敗したもの」上位には意外な製品が
次に、購入して「失敗したもの」はどうか。1位だったのは「食品」だ。アンケート調査では、「100円ショップにしか置いていないものは味が落ちる気がする」「100円ショップで売られているナショナルブランドの食品やお菓子は、通常より量が少ないものがある」などの意見があった。また、場合によっては大手スーパーのPB商品のほうが安いこともあり、必ずしも100円ショップだから得だとは限らなかった。
2位以下は100円ショップの定番とも言えるボールペンや粘着テープ、乾電池が挙がった。ボールペンは「すぐに書けなくなった」、粘着テープは「粘着力が弱いものが多い」など、そもそも実用性に不満を持つ声が多かった。5位の女性用ストッキングも同様。「2枚組みは本当に薄くて伝線しやすい」などの声があった。1位の食品を除き、どれもユーザーが品質に不満を持つと思われる商品群だ。

定番品であるフローリング掃除用交換シートの比較結果は

次に、100円ショップで最も売れている商品の一つ、フローリングワイパー用の取り換えシートを、スーパーやドラッグストアで売られている同種の商品と比べてみた。
スーパーやドラッグストアなどで購入できる、花王などのメーカー純正品に比べると、100円ショップの商品は、拭き取り力こそ見劣りするが、枚数は多く、価格も安くてお買い得。スーパーで売られている98円の格安品と比べても、大創産業やワッツの商品は、シート1枚当たりの価格で見ると実質割安だ。特にワッツのウエットシートは、1枚当たりの価格が安めな割に、含まれる水分が多くて拭き取り力が高く、リーズナブルといえる。
ドライ、ウエットともワッツのシートがリーズナブル
綿と糸くずを一定範囲にまき、各社の代表的シートで拭き取るテストでは、花王の純正品を除き大差が出なかった。そこでシート1枚当たりの価格と重さを比べ、「ドライ1枚の価格、重さ/ウエット1枚の価格、重さ」として表に示した。ドライ、ウエットとも適度にシートが重く、価格も安いワッツがリーズナブル。

100円ショップのほうが得と一見してわかる商品もある。あまり知られていないが、豪勢な飾りが付いている祝儀袋などはその代表だ。また、汁をすくう、アクを取る、具をすくうの3役を1つでこなす穴開きおたまや、バスタオルも干せる伸縮自在のハンガーなどは、100円ショップでなければ安価に入手できないアイデア商品といえる。スーパーなどの攻勢は強まっているが、うまく使いこなせば100円ショップの利用価値はかなり高い。
「購入したい商品が明確になっていなくても、週に1回ぐらいは100円ショップにふらっと寄ります」。聞き取り調査に応じた30代女性は、自分の買い物スタイルをこう答えた。毎月100~300もの商品が入れ替わる100円ショップならではの利用法なのかもしれない。
(日経トレンディ 降旗淳平)
[日経トレンディ2012年12月号の記事を基に再構成]
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