担い手は「草の根」に、官製クールジャパンの死角
クールジャパンの実像(3)

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2013/6/13 7:00
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この6月1~3日にかけて横浜で開催された「第5回アフリカ開発会議」では、初めてアクションプランに基づいた施策を行った。例えば総理主催の夕食会で「こだわりの和食・日本酒・国産ワイン」をふるまい、「津軽三味線・ピアノ・太鼓」の演奏を披露。企画展では「アニメ、伝統工芸品、カメラなど幅広い分野で連携した発信を行う」とあったが……。

■強みに「便乗」、伝統的な国産品や文化を支援

アフリカ開発会議の関連行事を視察する安倍首相ら。中央、ブルーのドレス姿は稲田朋美クールジャパン戦略担当相(31日午後、横浜市)

アフリカ開発会議の関連行事を視察する安倍首相ら。中央、ブルーのドレス姿は稲田朋美クールジャパン戦略担当相(31日午後、横浜市)

行政改革相としてクールジャパン戦略会議の議長を務め、クールジャパン戦略担当相も兼ねる稲田朋美は6月4日の記者会見で、「具体的にどのような企画展示が行われたのか」という質問にこう答えた。「『鉄腕アトム』とか、あといろんな日本のアニメやドラマをずっと流すことによって、日本の文化とか生活スタイルを発信していくブースがありました」

日本酒に三味線、鉄腕アトム……。今、海外で人気のあるポップカルチャーとはほど遠い内容だ。ちなみに稲田はクールジャパン戦略担当相として、アフリカ開発会議の関連行事に「不思議の国のアリスをイメージした」というブルーのドレスで登場。記者団の前でこのドレスを、日本発のファッション「ゴスロリ(ゴシックアンドロリータ)」と称し、クールジャパンをアピールした。が、色も形状もゴスロリとはほど遠い、単なる"国産"ドレス。4日の記者会見では「娘からも、知識が浅いのではないかと怒られた」と明かしている。

動き出した官製クールジャパン。しかし、本来の強みを「伸ばす」のではなく、強みに「便乗」して伝統的な国産品や文化を支援する色が濃い。

こうなるのも無理はない。アクションプランを策定したクールジャパン推進会議には7人の民間議員が参加している。うち4人は茶道家元の千宗室、ファッションデザイナーのコシノジュンコ、台湾出身で79歳の評論家の金美齢、京料理の老舗「美濃吉」社長の佐竹力総。ポップカルチャーから縁遠い伝統文化の有識者が過半を占める。

■「私たちみたいなところに聞いてくれれば」

もっとも19項目のうち、ポップカルチャーに言及したアクションプランも存在するが、クリエーターが望むものでも、オタク文化の収益化につながりそうなものでもない。

「アジアを中心に例えばアーティストを講師として派遣する」「クリエーターが励みとなるよう顕彰事業を充実する」「日本のキャラクターの国際的なインターネット投票を実施する」――。オタク文化にかかわる著名クリエーターはいう。「講師として海外に行くより、ネットで多言語で情報発信する方が効果的。政府から賞をもらっても励みにはならない」

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