担い手は「草の根」に、官製クールジャパンの死角
クールジャパンの実像(3)

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2013/6/13 7:00
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海外志向のクリエーターたちに、TOMは福音をもたらした。クリエーターの活躍がなければ、オタク文化の発展も、TOMの成長もない。互いに支え合う好循環が、ようやく始まろうとしている。だが、依然として課題は多い。

■二次創作のファンアート、「販売できない」

組織的に制作されたアニメや映画などの旧来型コンテンツとは違い、個が支える「新世代コンテンツ」はビジネスが成立しにくい世界。そもそも収益度外視、趣味で作品を発表するクリエーターも多い。そうした個の集合体のパワーがオタク文化の人気につながっている。ただ、亀井は変えたいと思っている。

TOMの通販ショップ。個数・期間限定で販売されている。画面の商品は「Yutif」というクリエーターによるポストカード

TOMの通販ショップ。個数・期間限定で販売されている。画面の商品は「Yutif」というクリエーターによるポストカード

「個人だろうが、作っている人にちゃんとお金を回したいなと思っていて。お金が回ればクリエーターさんが元気になって、またいいものを作ってくれる」。そう話す亀井は今年3月、通販のショップをTOMの独自サイト内に設け、グッズ販売を開始した。企業に混じり、TOMで活躍する個人のクリエーターも手製のオタク関連商品を販売している。

だが、権利の問題はクリアできていない。オタク文化において人気が高いのは、アニメやマンガをモチーフにした、二次創作、三次創作の「ファンアート」。これを、TOMでは販売しない方針だ。亀井はいう。

TOMを創業した亀井智英最高経営責任者(CEO)

TOMを創業した亀井智英最高経営責任者(CEO)

「音楽の『日本音楽著作権協会(JASRAC)』みたいなものがあればいいんだけど、イラストやコスプレなどのモチーフとなる、オリジナルの権利を持つライセンサーにお金が落ちるスキームがないんです。ファンアート自体、認めていない会社もあるなかで、販売はできない」

外国人が喜んでお金を払い、ライセンサー、ファンアートを作るクリエーター、TOMの3者が利益を分配する仕組みが構築できればいいが、道のりは遠そうだ。亀井は「それこそ、ファンアートの問題を政府のクールジャパンで整備してほしい」というが、政府はこうした本質的な課題やクリエーター発の活動はおざなりに、明後日の方向へと向かいつつある。

■総花的なアクションプラン、強調される「伝統」

政府は5月28日、クールジャパンに関する具体的な19項目のアクションプラン(行動計画)を公表した。そもそもこの19項目自体、多くの伝統産業にまたがるものが多く総花的だ。

「日本の食文化の発信イベントを海外で行う」「日本料理の料理人や日本料理に造詣の深い学識経験者などを食の伝道師として育成する」「日本産酒類の魅力を日本産の食品と併せて発信する」「クールジャパン発信イベントで、茶道の披露の場を設ける」「世界文化遺産を目指すものについて『日本遺産(仮称)』として位置づける」……。

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