担い手は「草の根」に、官製クールジャパンの死角
クールジャパンの実像(3)

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2013/6/13 7:00
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「日本のイラストは、他国のクリエーターがまねしようと思っても簡単にできるものではない特有のソフト資産。世界中のたくさんの人に知ってもらって、それを作るクリエーターたちの質を底上げしつつ、文化としての価値も底上げしたいと思ってるんですね」

桜エキシビションを主催するイラストレーターの「彩」(左)とオオタニヨシミ(右)

桜エキシビションを主催するイラストレーターの「彩」(左)とオオタニヨシミ(右)

こう説明するオオタニに、資金を捻出する彩が補足する。「僕たち作家は、興味のある人たちに紹介したり、作家同士で見せ合ったりするだけで、海外やエンドユーザーさんに見てもらう手段が弱い。作家だけの力では、これ以上は広がっていかないんじゃないかと思っていまして、いま努力をしてるところです」

■「国内外の企業や政府へのアピールが下手」

2012年10~12月にかけてポルトガルで開かれた桜エキシビション。現地のテレビ局が報道した(画面はユーチューブから)

2012年10~12月にかけてポルトガルで開かれた桜エキシビション。現地のテレビ局が報道した(画面はユーチューブから)

手弁当の展覧会としては相当な規模になった。ただ、限界がある。今年4月の米ロスでの展示会は彩、オオタニともに現地へ赴いたが、基本的には予算がないため主催側の人間は海外へ行かない。現地の協力者に作品を送って済ませている。集客も現地任せで、来客数は毎回、延べ数百人程度にとどまる。彩はこう吐露する。

「イラストレーターさんへのプロモーションはある程度心得ているんですが、国内外の企業さんやメディア、政府へのアピールが弱いというか下手なんですよね。連絡をしてもなかなかご返信いただけなかったり……」

そうこうもがいているうちに、TOMのスタッフと知り合い、TOM側も「面白い活動」と支援を申し出た。TOMは1263万人にリーチできるメディア力を生かし、桜エキシビションの広報や集客に一役買うことを検討している。さらに、国内外の企業など、つなげることができるネットワークは極力、つなげていくという。彩はこう訴える。

「僕たちは完全に作家側の人間なので、あいだの人、橋渡しをしてくれる方が必要なんです。そういった意味では、オタクモードさんと知り合いになれて本当に心強い」

■クリエーターとTOM、互いに支え合う好循環

TOMのクリエーター支援はネット上にとどまらない。冒頭のパーティーもクリエーター支援の一環。普段はバーチャルな付き合いが多いクリエーターにとって、リアルの機会は貴重だ。TOMの共同創業者である秋山卓哉は、こう説明する。

「出会ったことがないクリエーター同士が出会うことでコラボレーション作品が生まれ、またクオリティーが上がることがよくある。コスプレの世界ではヒロインとヒーローが同じ作品に収まることを『合わせ』というんですが、ジャンルを超えたクリエーター同士の出会いを提供することで、そうしたケミストリーが生まれたらいいなという思いでやっています」

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