大衆薬ネット通販、「未開の地」開拓狙う各社
ケンコーコム勝訴確定で号砲

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2013/1/11 22:20
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ガスター10(胃腸薬)、ニコレット(禁煙補助剤)、リアップ(発毛剤)、ロキソニンS(解熱鎮痛消炎剤)……。医薬品ネット販売のケンコーコムが運営するサイト「ケンコーコム」で11日から購入可能になった第1類医薬品だ。テレビCMなどで知名度の高い医薬品も含め、その数は83種類にのぼる。最高裁が同日、一般用医薬品(大衆薬)のネット通販の可否をめぐる裁判で、第1類・第2類医薬品の取り扱いを規制した厚生省令を違法とする判決を出したことに伴い、同日からおよそ3年半ぶりに取り扱いを再開したのだ。

ケンコーコムのウェブサイトでは、11日から第1類医薬品が購入可能になっている

ケンコーコムのウェブサイトでは、11日から第1類医薬品が購入可能になっている

同社の当面の目標は、規制前の年間5億円という売り上げ規模をいち早く回復すること。スマートフォン(スマホ)の普及などで3年半前よりネット通販の環境が整っていることから、さらなる規模拡大も視野に入れている。

ケンコーコムの後藤玄利社長は判決後の会見で「大衆薬の市場規模は年間6000億円強。大衆薬は販売時に(薬剤情報の確認や薬剤師との相談など)情報のやり取りが多く、一般的な商品よりネット販売との親和性が高い。大衆薬のネット流通比率は10~20%といった水準よりも高くなると信じている」と表明。目の前の広大な市場を見据えている。

■ヤフー、楽天も参入準備を表明 リアル店舗持つビックカメラも?

巨大な市場規模がありながら、従来ほとんどネット販売が行われていなかった大衆薬。今回の判決を受け、未開の地をいち早く開拓しようとケンコーコム以外のネット事業者も動きを見せる。ヤフーは「Yahoo!ショッピング」で、ケンコーコムの親会社でもある楽天は「楽天市場」で、それぞれ出店者が第1類・第2類を含めた大衆薬を取り扱えるよう準備を始めると表明した。

最高裁での勝訴判決を受け会見するケンコーコムの後藤玄利社長(11日、東京・千代田の厚生労働省)

最高裁での勝訴判決を受け会見するケンコーコムの後藤玄利社長(11日、東京・千代田の厚生労働省)

第1類も含めた大衆薬のネット販売が認められたとはいえ、まだハードルは残っている。「ネット販売が解禁されると危ない売り方がはやるのではとの誤解があるが、実際にはリアル店舗を持って、その店舗を拠点にしてネット販売をすることが許されただけ。ネット販売で薬事法に違反する行為があった場合、店舗の営業許可が取り消されることになる」(ケンコーコム訴訟代理人の阿部泰隆弁護士)ためだ。また、第1類の医薬品を扱うには常駐の薬剤師によるカウンセリングが受けられる体制なども必須条件となっている。

それでも、ヤフーや楽天と同様にネット通販をすでに手掛け、資金力も十分な企業であれば、大衆薬のネット通販への参入は十分可能性がある。例えば、ビックカメラは東京・池袋や有楽町など16店舗で医薬品売り場「ビックドラッグ」を展開。うち4店舗は調剤薬局大手のクオール(東京・港)やトモニティ(東京・新宿)との協業により、第1類大衆薬も扱っている。あくまで仮定の話だが、将来ビックカメラが大衆薬のネット通販を「ビックカメラ.com」などで展開する場合、これらのリアル店舗を拠点として活用しうる。現時点でこうしたリアル店舗を持たないネット通販事業者も、中堅以下のドラッグストアや調剤薬局との提携や買収によって、大衆薬ネット通販への足がかりを築く戦術を採りうる。

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