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丸ごとレビュー テレビに差すだけ、自宅でユーチューブを簡単閲覧

フリーライター 竹内 亮介

HDMI端子を搭載した液晶テレビをスマートテレビに変える「クロームキャスト」

グーグルは5月28日、スマートフォンやタブレットなどの映像をテレビに配信して表示できる「Chromecast」(クロームキャスト)を発売した。テレビのHDMI端子にコンパクトなクロームキャストを差すだけで、そのテレビがインターネットコンテンツを楽しめる「スマートテレビ」に変身するユニークなガジェットだ。導入方法から活用方法までを簡単に紹介していこう。

無線LANを手動設定すれば導入作業は終了

クロームキャストは米国では2013年7月に発売されていたが、日本では約1年後の発売となった。実勢価格は4200円前後だ。クロームキャストで映像や動画を配信するには、後述するようにアプリの対応が必要であり、そうした状況が各国で整うのを待っていたのだろう。

現在はグーグルの「YouTube」や「グーグルプラス」の画像表示などグーグル製アプリのほか、NTTドコモの動画配信サービス「dビデオ」、KDDIの「ビデオパス」(予定)などがクロームキャストによる配信に対応する。

形状は、薄型の無線LANアダプターのようだ。ただし接続インターフェースはUSBではなく、HDMIとなる。液晶テレビや液晶ディスプレーのHDMI端子に差し込んで、クロームキャストに配信されてきた映像を表示するわけだ。音声もHDMI端子経由で配信される。

このHDMI端子を液晶テレビのHDMI端子に差す
背面にあるのは給電用のマイクロUSB端子だ
AndroidやiOSのアプリストアからクロームキャストをダウンロードしてインストールし、無線LANの設定を行う

電源は、HDMI端子の反対側にあるマイクロUSB端子経由で供給される。パッケージにはUSBケーブルとACアダプターが付属するが、これらを使わなくても一般的なUSBケーブルと液晶テレビのUSB端子からの給電でも動作した。電源ボタンはなく、クロームキャストのUSBポートに給電用のマイクロUSBコネクターを挿すと起動して、「待ち受け」の状態になる。電源供給用のケーブルなので、利用中は常にUSBケーブルを差しておく必要がある。

次に、スマートフォンやタブレットにアプリストアから「クロームキャスト」アプリを導入し、クロームキャスト本体の無線LAN設定を行う。導入の山場はこのあたりだが、この作業が必要なのはクロームキャストをLANに登録する最初の1回だけだ。手動で無線LANを設定した経験があれば特に問題はないだろう。

グーグルのAndroidだけではなく、iOS搭載のiPhoneやiPadシリーズなどでもクロームキャストは利用可能だ。パソコンではウェブブラウザーの「Chrome」(クローム)に、拡張機能の「GoogleCast」(グーグルキャスト)を追加することで、タブ1つ分をクロームキャストに配信できる。

動画や静止画を簡単な操作でテレビに表示

Androidの「写真」アプリを起動した画面だ。上のメニューバーに四角いアイコンがあるがこれをタッチすると、利用できるクロームキャストがリストで表示されるのでタッチする

準備が終了したら、対応アプリからクロームキャストを探して画像や動画をテレビに配信しよう。まず注意したいポイントとして、クロームキャストが転送できるのはAndroidやiOSのホーム画面、あるいはWindowsのデスクトップ「ではない」、ということだ(パソコンのデスクトップはベータ版ながら配信可能)。原則的には、クロームキャストに対応したアプリでないと転送できない。

アプリのクロームキャストをインストールしたスマートフォンやタブレットで、クロームキャストに対応するYouTubeやグーグルプラスアプリを起動すると、画面上に小さなテレビのようなマークが表示される。これが配信ボタンだ。コンテンツの再生中にこの配信ボタンをクリックし、登録済みのクロームキャスト本体を指定すると、数秒後にテレビにそのコンテンツが表示される。

YouTubeの動画は、スマートフォンやタブレット上で見るよりもブロックノイズが気になり、精細感がやや低下する印象はあった。しかし内容はちゃんと把握できる。グーグルプラスにアップロード済みのデジカメ画像はかなり美しく、Youtube動画の時のような精細感の低下は見られなかった。配信する内容によって転送レートを切り替えているのかもしれない。

すると写真アプリで閲覧中のデジカメ画像や動画が、クロームキャスト本体を接続した液晶テレビに表示される
左の画像の元画像
パソコンでは、ウェブブラウザの「クローム」に、「グーグルキャスト」という拡張機能を追加する

パソコンのウェブブラウザー「クローム」から、クロームキャスト本体にタブを配信すると、ニュースサイトや動画配信サイト、フラッシュベースのブラウザゲームなど、ブラウザ上で表示できるコンテンツなら基本的に表示できた。テレビ側にインターネット接続機能やウェブブラウザーがなくとも、インターネットコンテンツを表示できるようになるわけで、いわゆるスマートテレビのような使い方ができるようになるわけだ。

クロームキャスト経由の出力画面は、パソコン側の操作から約1~2秒遅れて描画される。また、マウスカーソルが表示されなかった。そのため操作はパソコン側のディスプレーを見ながら行う必要がある。ちょっと煩わしいのは事実だが、タッチ操作に対応するタブレットなら、ソファに座って気軽に操作できる。

文字の表示はやや粗くなるが、ニュースサイトの細かい文字もきちんと読める

ちょっと面白かったのは、スマートフォンやタブレットとクロームキャスト本体は、1対1で結びついた存在ではないことだ。クロームキャストアプリをインストールした複数のデバイスから、まったく同じ操作で表示画面が配信できる。1つのデバイスで配信中、そのクロームキャストに別のデバイスから配信指定を行うと、問答無用であとから指定したデバイスからのコンテンツに切り替わる。

家族個人が持つデバイスそれぞれで、表示したいコンテンツは異なるはずだ。やろうと思えばチャンネル争いのようにパッパと切り替えられてしまう。デメリットではあるものの、使いやすさを重視するなら、このくらいの縛りが緩い方がありがたい。

ホームユースやビジネスでの可能性は無限大

コンパクトながらも、スマートテレビの新たな可能性を垣間見させてくれる優れたガジェットだ。テレビ本体にインターネット接続やコンテンツの表示機能を組み込んでしまうと、テレビが古くなったときに新しいコンテンツに対応できなくなったり、表示速度が遅くて満足できなくなったりする可能性が高い。

しかしクロームキャストを利用するなら、こうした不安からは解消される。クロームキャスト本体は映像を中継するためのアダプターでしかない。コンテンツを表示するデバイスは常に最新のスマートフォンやタブレット、パソコンを利用できるため、機能の陳腐化を心配する必要がないからだ。

ビジネスの現場でも役に立つ。会議室にHDMI端子が付いたテレビがあるなら、クロームキャストを使ってプレゼンテーションすることも可能だろう。HDMIケーブルを長々とはわせたり、プロジェクターを設置したりする必要がないので省スペースにも貢献する。

対応アプリが少ないのは難点だが、これほど便利で、しかもAndroidの開発元であるグーグルがバックアップしている。今後充実していくことは間違いないはずだ。

竹内亮介(たけうち・りょうすけ)
 1970年栃木県生まれ、茨城大学卒。毎日コミュニケーションズ、日経ホーム出版社、日経BP社などを経てフリーランスライターとして独立。モバイルノートパソコン、情報機器、デジタル家電を中心にIT製品・サービスを幅広く取材し、専門誌などに執筆している。

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