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本塁打記録、"聖域"打ち破るバレンティン

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2013/9/11 23:09
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もう「見えざる壁」も打ち砕かれた。かつて"聖域"ともみられていた年間本塁打記録の55号に並び、記録更新に王手をかけたウラディミール・バレンティン(ヤクルト)。いわゆる消化試合が減ったクライマックスシリーズ(CS)制度の追い風もあるが、壁を破ったのはこざかしい細工や逃げを許さない、絶対の"腕力"だ。

「あんな打球は見たことない」

「クソボール。あんな打球は見たことないな。バレンティンでなければできない芸当だよ」

王貞治さんらが持つシーズン55本塁打の日本記録に迫ったバレンティンの54号(10日の広島戦、神宮球場)を、テレビ解説の席で見守った谷沢健一さん(元中日)は話す。それは谷沢さんの長い現役生活と解説者生活のなかでも、みたことのない打球だったという。広島、というより日本のエースといっていい前田健太からの1発は顔のあたりの高さの球をひっぱたいたものだった。

異次元の打球は多くの関係者に、故障さえなければ記録更新間違いなし、との確信を与えた。球場の広さも、飛ぶ球も飛ばない球も関係なく、積み重ねてきた1本、1本が、こざかしいまねをしたところで、もうバレンティンは誰にも止められない、とすべての人に受け入れさせたともいえるだろう。

55号を喫した広島の大竹寛は言う。「絶対に打ち取るつもりで投げた。打たれた球はコースは悪くなかった。相手の力が上だった」。そこにはかつて記録に挑んだ選手から逃げた投手の後ろ暗さはみじんもなかった。野村謙二郎監督も「(これからも)勝負するところはするし、避けなければいけないところでは避ける」と腹をくくっている。

「日本球界もずいぶん嫌なことをしてきたからね。バレンティンが記録を破るのはいいことだと思うよ」と谷沢さんは語る。

王さんは"レジェンド"だった

日本球界は「55」に挑んだ外国人選手になんと冷たかったことか。1985年のランディー・バース(阪神)は巨人との最終戦でまともに勝負してもらえず、54本止まり。

2001年のタフィー・ローズ(近鉄)、02年のアレックス・カブレラ(西武)はともに「55」に並んだが、そこまでだった。王さんが在籍した巨人だけでなく、縁遠そうな球団までが勝負を避けるかのようなムードに染まったのが不思議だった。

谷沢さんたちの世代にとって、王さんの記録が、当時すでに"レジェンド"であったのは間違いないという。

「10年近く現役時代を一緒に過ごさせてもらったが、あの弾道、そしてボールをしばくときの音。木製バットなのに金属音がするのは王さんだけでした」

一塁を守っていても、好調時の王さんの打球に対しては一歩も動けなかった。王シフトで狭めている一、二塁間をあっという間に抜けていった。

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