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アマゾン無人機導入、米国の岩盤規制崩す破壊力

forbes

(2013年12月5日 Forbes.com)

12月2日の朝は、目的地まで30分以内で購入品を配達する無人機導入を米アマゾンが検討しているという話題でもちきりだった。

先見の明がある人たちが、無人機は携帯電話のようにユビキタス(いつでもどこでも使える)になり、配送からデータ収集まであらゆることに使われるようになるだろうと数年前に主張し始めた。実際、昨年の家電見本市(CES)で私は、約15社のスタートアップ企業が商用無人機を応用した事業を手がけているのを知った。アラスカ大学フェアバンクス校は無人機技術に関する地域内の起業家のエコシステム(生態系)を構築中だ。

米アマゾンが導入予定の無人機=AP

アマゾンの一件で最も興味を引かれたのは、同社最高経営責任者(CEO)のジェフ・ベゾス氏が、アマゾンは米国連邦航空局との間でいくつかの内容について詳細を検討する必要があると発言したことだ。 アマゾンが連邦航空局と折衝? アマゾンは小売りと配送ビジネスではなかったか? アマゾンが取り扱う小包のほとんどはフェデックスやUPSのような業者が配送しているのに。空輸について連邦航空局と話し合うのは、こうした業者のはずだ。

技術革新が縦割り組織に浸透

実際のところ、アマゾンが連邦航空局と交渉に入ること自体、新事業や起業、技術革新が連邦政府に与える影響に大きな変化をもたらしつつあることを反映している。様々な分野で、技術革新は縦割りの組織や経済分野に横断的に急激に浸透している。この結果、政策立案側は複雑な技術について急いで学ぶ必要に迫られ、連邦政府の各機関の間では、管轄(権)や規制に関して困惑が広がっている。

注文から配送まで30分以内を目指す。米アマゾンが無人機での宅配サービスをテスト中

注文から配送まで30分以内を目指す。米アマゾンが無人機での宅配サービスをテスト中

今日、連邦政府のほとんどの官僚組織は特定産業の課題に対応するか、マクロ経済のトレンドに焦点を定めるかして発展してきた。エネルギー省は化石燃料や原子力といった伝統的なエネルギー源を扱う官庁。農務省の相手は農家。労働省は国内労働者の訓練を支援するといった具合だ。

世界的に広がる技術革新の経済は、そんなにきちんと組織分けできたものではない。例えば起業家をみてみよう。起業当初、ビジネスの規模は小さいが、大きなビジネスを目指して奮闘する。こうした起業家に対応する(官僚)組織はない。

中小企業庁は中小企業の担当だが、こうした中小企業はほとんどの場合、中小のままでビジネスを展開する。商務省は大企業のニーズに対応し、各産業にとって有益なデータを集めるのが仕事だ。両官庁は起業家支援に乗り出してはいても、起業家のために作られた組織ではない。労働省と教育省はどちらも、国民の教育と(労働)訓練の目的で組織されている。それは長期雇用の保障があり、恒常的な再訓練の必要がないような大規模企業を中心とした経済を前提としている。

国際航空貨物大手のドイツポストDHL本社前を飛ぶ小型ヘリコプター。緊急時に配送困難地区へ荷物を届けるサービスの試験飛行で、ボン市内の薬局から本社まで薬を配達した(9日)=AP

技術革新は、こうしたモデルを時代遅れにさせ、さらに(官公庁の)存在意義を薄めている。スタートアップ企業の中には、WiTricityのようにWi-Fiを通じて電池を充電する技術をもつ企業がある。こうしたスタートアップ企業は高速道路で運転中に、走行しているその車のバッテリーを充電するという将来像を描く。

消費者にとっては夢のような話だが、連邦政府の官僚や政策立案の側は混乱するだろう。これは、エネルギー省の案件なのか(=バッテリーの充電)、運輸省か(=高速道路)、それとも連邦通信委員会だろうか(=Wi-Fiネットワーク)。スタートアップ企業の成功を支援するために協力するという経験が乏しい3つの官庁が、いったいどうやって雇用を創出し米国の競争力強化に向けた取り組みができるだろうか。

つぶれたバイオ燃料起業の芽

もう一つ挙げられる例はバイオ燃料だ。数年前、連邦政府の助成金コンペの実施期間中、複数の大学とスタートアップ企業によるコンソーシアムがバイオ燃料技術にかかわる起業家のハブ組織を作ろうとしていた。このコンソーシアムは連邦政府からの資金援助と技術面での支援が得られないかと模索していた。彼らが直面したのは、旧態依然とした官僚的な対応だった。商務省、エネルギー省から農務省へとたらい回しにされ、技術支援と助成金コンペで一部得られた資金を断念した。

実際のところ、コンソーシアムは3官庁すべての支援が必要だった。バイオ燃料は作物から抽出する技術だから、農務省にはノウハウがある。エネルギー省はバイオ燃料のスタートアップ企業を、送電網やエネルギーサービス部門と連携するよう支援できる。商務省は地域のエコシステム発展を支援するのが仕事のはずだ。

アマゾンの高い知名度や評価、企業規模、市場での影響力を考えれば、同社の無人機計画は政府のあり方を変える本当の転換点になるかもしれない。うまくいくかどうか分からないが、アマゾンは政府の動きが鈍いからといって計画を頓挫させる気はないだろう。連邦航空局に加えて、国防省、商務省、ホワイトハウスもアマゾンの計画に何かもの申すだろうと私は確信している。連邦政府官庁は、技術革新や競争力の高い活動を支援するために、現状より優れた青写真を用意しておくべきだ。

こうした青写真は、政府の将来に大きい影響を与えることになるだろう。規制や監督も現在よりずっと協同的で縄張り意識の低いものになるかもしれない。アマゾンの無人機も、バイオ燃料やエネルギーも、規制が必要なのは疑いの余地もないし、政府による適切な監督と戦略的な支援が必要だ。監督体制は官庁横断的で、テクノロジーの進化に素早く対応できるものでなければならない。企業や組織がグローバルで協同的で革新的ならば、政府も同様であるべきだ。

By Nish Acharya, Contributor

(c) 2013 Forbes.com LLC All rights reserved.

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