2017年11月19日(日)

地域活性化する「高齢社会の足」、将来像は自動運転EV
超小型モビリティ

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2014/2/19 7:00
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 「高品質」「多機能」だけでは、ヒット商品を生み出せない時代になった今、的確に市場のニーズや将来像を予測した上で、商品開発に取り組む重要性が高まっている。連載特集「未来を読む」では、新市場創出の期待が高い「超小型モビリティ」や「農業クラウド」など注目分野の動向を取り上げるとともに、高齢化や都市化などによって変わる消費トレンドなどを解説する。今回は、市場を起点にした技術ロードマップを体系的にまとめた技術予測レポート『テクノロジー・ロードマップ 2014-2023』(日経BP社)の著者の一人で、自動車の将来動向をウオッチする早稲田大学環境総合研究センター参与招聘研究員の樋口世喜夫氏に、高齢者の移動手段として普及が期待される「超小型モビリティ」について解説してもらう。樋口氏は、電気自動車(EV)など電動化技術に自動運転技術を取り入れた超小型モビリティは、異業種によるビジネス機会を提供しながら進化していくと見る。

 1人乗りまたは2人乗りで移動できる車「超小型モビリティ」は、急速に進む高齢社会に向けた人々の生活の足となるだけでなく、地域産業の活性化の手段になっていく。そこで期待されるのは、「ぶつからない、ぶつけない」安全な二人乗りの“ちょい乗り”の超小型車である。

 超小型モビリティの普及は、クルマの使われ方も大きく変えていく可能性がある。既に、超小型モビリティを前提にしたカーシェアリングやモーダルシフト(人や貨物の輸送手段の転換を図ること)の実証実験が始まっている。

 こうした動きを核として、多くの異業種がパートナーとなり、楽しく、安全で、賢いモビリティ(移動性)の実現に向けたソリューションビジネスの機会が増大していきそうだ。

日産自動車が開発した超小型モビリティ「日産ニューモビリティコンセプト」。神奈川県横浜市で2013年10月に始まったワンウエイ型カーシェアリングの取り組みで50台利用されているほか、茨城県つくば市の実証実験などで導入されている

日産自動車が開発した超小型モビリティ「日産ニューモビリティコンセプト」。神奈川県横浜市で2013年10月に始まったワンウエイ型カーシェアリングの取り組みで50台利用されているほか、茨城県つくば市の実証実験などで導入されている

ホンダが沖縄県宮古島市などの自治体と共同で開始した実証実験に導入した超小型モビリティ「MC-β(エムシーベータ)」

ホンダが沖縄県宮古島市などの自治体と共同で開始した実証実験に導入した超小型モビリティ「MC-β(エムシーベータ)」


■自転車より安全で省エネ

 超小型モビリティに期待が集まる背景には、先進国を中心にした世界的な高齢化の進展という社会問題がある。その先頭グループにいる日本は、2015年に4人に1人、2050年に3人に1人が65歳以上の高齢者になるという超高齢社会を迎える。高齢者世帯の4分の1は独居と夫婦世帯になると予測されている。

 超高齢社会で健常な高齢者が自立して生活するためには、移動手段の確保が不可欠である。移動の足がなくなると高齢者の4人に3人は、自立が困難になるという。

 こうした社会課題の解決で重要な役割を果たすのが、2人乗りのちょい乗り超小型モビリティである。軽自動車より小さい近距離用の超小型車だ。最高速度は時速60km程度で、その速度に適した安全性能を持つ。さらに30kg程度の荷物を載せられ、坂道を楽に登れるといった性能が求められている。

 日本における交通事故死亡者は、高齢者が全体の半数を超え、そのうち歩行中が2分の1、自転車乗車中が4分の1、両者で4分の3を占める。また、歩行者と自転車利用者の死者は、自宅から半径500m以内の範囲での事故がほぼ半数に達している。こうした狭い行動範囲の中で自転車より安全に移動でき、かつ夫婦2人の日常生活で使用できる省エネで小さいクルマへの要望は、今後ますます高まっていくだろう。

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