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iPhoneやiPadで地デジ番組を見る方法

アイ・オー「テレキング」を試す

フリーライター 竹内 亮介

地上デジタル放送をパソコンからiPhoneやiPadに配信できる「テレキング」。実勢価格は1万円前後

アップルのスマートフォン「iPhone」シリーズやタブレット端末「iPad」には、テレビ放送の受信機能がない。外付け型のワンセグ放送チューナーは販売されているが、画質はいまひとつ。そんななか、高画質な地上デジタル放送を無線LAN経由でリアルタイムでiPhoneなどに配信できるパソコン用の外付けチューナーが登場し始めた。使い方や映像の品質などを試してみた。

現在販売されている地デジチューナーでiPhoneなどへの転送機能を持つのは、アイ・オー・データ機器の「テレキング(GV-MVP/FZ)」(実勢価格は1万円前後)、バッファローの「DT-F200/U2W」(同1万6000円前後)の2製品。いずれも2010年12月に発売されており、今回はアイ・オー・データのテレキングを使った。

USBメモリー(左)と並べたところ。大きさはほとんど同じでモバイルノートパソコンと持ち歩いても苦にならないだろう

テレキングは、地デジチューナー1系統を内蔵した小型端末でパソコンにUSB接続する。大きさは幅23×高さ75×奥行き12ミリ、重さは18グラムと、USBメモリー並みのサイズながら、受信感度を向上させるブースターアンプや映像を圧縮する「トランスコード」用のエンコードチップも内蔵する。

トランスコードは、フルハイビジョン画質の地上デジタル放送を解像度を落とさずに転送レートを下げて圧縮録画する機能。ブルーレイ・ディスク(BD)レコーダーなどでもおなじみだ。パソコンのソフトウエア処理で圧縮することも可能だが、テレキングはエンコードチップでハードウエア処理するため、パソコン側の負荷が軽いという利点がある。圧縮方式はMPEG4-AVC/H.264で、ハイビジョン映像の録画容量を最大10分の1に節約できる。

無料の視聴アプリをダウンロード

テレキングをアンテナ線とパソコンに接続したところ。屋外用などのミニアンテナも付属する

受信した地デジ放送は当然パソコン上でも視聴できるが、今回はパソコンから第4世代「iPod touch」(32GBモデル)と「iPad」(WiFi版、16ギガバイトモデル)の2機種に転送して、どのように視聴できるかをチェックした。

視聴するには、パソコンがつながっている家庭内などのLANに、iPadなどを無線LANで接続する必要がある。同じLAN環境につながってさえいれば、接続方法は問わない。今回はプロバイダーから貸与されたブロードバンドルーターにパソコンを有線LANで接続し、iPadなどは別途購入した無線LANアクセスポイント(通信規格はIEEE802.11n)を通じてLANにつなげた。

使用したパソコンは、レノボのモバイルノートパソコン「ThinkPad X201s」で、CPUはインテル「コアi7-620LM」、メモリーは4ギガバイト、ストレージは128ギガバイトのSSDという構成だ。

手順は簡単で、まずiPadなどに無料の視聴アプリをダウンロードしておく。iPhoneとiPod touch用アプリは「TVPlayer」、iPadは「TVStream」という名称で、どちらもマキエンタープライズ(徳島県三好市)製だ。このアプリはテレキングだけでなくバッファローのDT-F200/U2Wにも対応している。

次に、パソコン側にテレキングのドライバーソフトをインストールして、テレキングをUSB接続する。管理ソフトの設定画面で地域設定などを済ませ、パソコン上で地デジ放送を視聴できる状態にすれば準備は完了だ。

iPadなどの視聴アプリを起動して無線LANによる接続を選択すると、現在放送中のチャンネルリストを表示する「チャンネル」タブと、パソコンで保存した録画番組を表示する「ライブラリ」タブが現れる。

iPhone用の視聴アプリ「TVPlayer」で「チャンネル」タブを開いたところ
TVPlayerの「ライブラリ」画面。番組名の横の再生ボタンを押すと録画番組の再生を始める
同じくiPad用アプリ「TVStream」で「チャンネル」を開いたところ。画面が大きいので多くのチャンネルを一度に表示できる

このチャンネル名や番組名をタップするだけで、視聴することができる。システム構成としては、パソコンが「サーバー」として番組データや放送波の内容を再配信し、iPadなどが「クライアント」として受信するかたちになる。

ワンセグとの画質の差は歴然

画質モードの転送レートと解像度
対応機器モード転送レート解像度
iPhone、
iPod touch
高画質1.1メガビット/秒480×270ドット
標準0.7メガビット/秒480×270ドット
iPad高画質3メガビット/秒640×360ドット
標準1.1メガビット/秒640×360ドット

映像の画質は、iPhoneとiPod touch、iPadでそれぞれ「標準」と「高画質」の2つのモードから選べる。解像度や転送レートは表のとおりだが、iPod touchでは「標準」で十分な解像感を楽しめた一方、iPadの「標準」はやや輪郭が甘くなる傾向があった。通信速度が遅いIEEE802.11bで無線LAN接続しているといった環境でなければ、「高画質」モードを選択した方がいいだろう。

ソフトバンクモバイルの外付けワンセグチューナー「TV&バッテリー」と画質を比較してみたが、精細感や動きのなめらかさはテレキングの方が圧倒的に上だ。iPadの標準モードですら雲泥の差があり、画質では比較にならないレベルといっていい。

視聴中に放送内容を一時停止し、その場所から視聴し直す「タイムシフト再生」や、前回停止した場所から録画番組を再生し直す「レジューム再生」の機能も備える。何かほかのことをしながら番組を見る「ながら視聴」のときは便利だ。

テレキングの録画予約画面。「転送用同時録画」というオプションでiPhoneやiPad用データを同時に作成するように設定しておくと録画番組を素早く再生できる

応答速度は、一時停止やタイムシフト再生ではほとんど遅れがない。一方、レジューム再生や新しい録画番組の呼び出しは、3秒程度かかった(テレキング側で録画予約をするときに、iPhoneなどに配信するデータを別途作成するオプションを「オン」にした場合)。さらに、放送中のチャンネル切り替えは約18秒とかなり長い時間がかかった。

パソコンでテレキングを使って番組を視聴したり、録画したりしているときはiPadなどで見ることはできない。また、iPadの視聴アプリはインターネット上にある番組表サイトを表示できるが、そこから録画予約はできない。視聴だけでなく録画操作もiPhoneやiPadからできれば、さらに便利だろう。

使い込んでみるといくつか課題を感じるのは確か。しかし、画質のいい地デジ放送を比較的簡単に視聴でき、iPhoneやiPadの使い道がさらに広がるのは間違いない。寝る前に枕元で気軽に使える小さなテレビがほしいというユーザーなら十分満足できるのではないか。

竹内亮介(たけうち・りょうすけ)
 1970年栃木県生まれ、茨城大学卒。毎日コミュニケーションズ、日経ホーム出版社、日経BP社などを経てフリーランスライターとして独立。モバイルノートパソコン、情報機器、デジタル家電を中心にIT製品・サービスを幅広く取材し、専門誌などに執筆している。

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