杭を補修していたのに傾いたマンション

2011/5/11付
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 仙台市宮城野区のSマンションは、今回の震災で「L」字形平面の建物の、南側に建つ東西に長い棟(以下、南棟)が南側に傾斜した。1976年に竣工したSRC造・地上14階建て、杭基礎の建物だ。現在、住民の多くが退避している。

マンションの北棟と南棟のジョイント部を見る。エキスパンションジョイントが破損。南棟(写真右手)は4月10日時点で45分の1(1000分の22)の傾斜角で南側に傾いている(写真:越後谷出)
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マンションの北棟と南棟のジョイント部を見る。エキスパンションジョイントが破損。南棟(写真右手)は4月10日時点で45分の1(1000分の22)の傾斜角で南側に傾いている(写真:越後谷出)

 周辺の被災状況を見ると、古い木造家屋には倒壊したものがあるが、RC(鉄筋コンクリート)造の建物に目立った被害は見当たらない。

 2011年3月11日に震度6強の本震が発生した後、Sマンションの状況を調査したのは、東北大学大学院工学研究科・災害制御研究センターの源栄正人教授だ。調査の結果、軒高40mの地点で2棟の間隔が75cm開き、南棟は56分の1(1000分の18)の傾斜角まで傾いたことが判明した。

 4月7日には震度6強の余震が発生。その影響を受けて、南棟の傾斜角は45分の1(1000分の22)になり、2棟の間隔は88cmにまで拡大した(4月10日時点)。住宅品質確保促進法で瑕疵(かし)とされる床の傾斜の目安は、1000分の6だ。Sマンションの傾斜の深刻さが分かる。源栄氏は、1階スラブが傾斜していることなどから、杭基礎が被害を受けたのだろうと推測している。

 Sマンションは、1978年の宮城県沖地震で大きな被害を受けていた。建物全体の傾斜や沈下は認められなかったが、非構造壁のせん断破壊による亀裂や高架水槽の傾斜など非構造部に多くの被害が見られた。

 周辺の地盤が沈下し、住民が地中梁の亀裂を見つけたことなどから、念を入れて地下を掘り起こして基礎の状態まで調査したことが分かっている。

 源栄氏がマンション住民から聞いた話では、掘り起こした結果杭の欠損が見つかった。しかし、補強まで施す必要はないと受け止めていたようだ。

 地震の翌年、79年に非構造部を補修するとともに、杭欠損部についても元通りに補修するにとどめたのだという。

[注]日経アーキテクチュア2011年5月10日号では、この事例のほかに、基礎を補強して被害を免れた郡山市営住宅の事例を紹介。

(日経アーキテクチュア 高市清治)

[日経アーキテクチュア2011年5月10日号の記事を基に再構成]

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