2018年11月19日(月)

SNSで市民の声を行政に 動き出した「地方自治2.0」

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2012/5/18 7:00
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交流サイト(SNS)を通じて市民の声を拾い、行政に反映する地方自治体が増えている。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)や世界的なソーシャルメディアの普及を背景に、素早く効率的に行政サービスを提供するための「情報インフラ」として、SNSの活用が加速している。政府が防災のためにネット利用を自治体に求める動きも手伝い、今後、自治体とSNSのコラボレーションが一気に広がる可能性もある。

武雄市のホームページはアカウントを持つ人であれば直接書き込みができる

武雄市のホームページはアカウントを持つ人であれば直接書き込みができる

「道路の路面がはがれています」「外国語指導助手(ALT)を募集するのなら、英語で表記すべきでは」……。人口5万人超の佐賀県武雄市の公式ホームページ(HP)には日々、市民からの声が投稿・公開されている。総務省出身の樋渡啓祐市長が主導して同市は昨年8月、世界最大手のSNSであるフェイスブック上にHPを完全移行した。

4月末時点での累計総ページビュー(PV)は2400万。フェイスブックを使う前のHPと比べて、月間ベースで約50倍に増えたという。

アカウント登録する市民らは、身の回りの状況や意見を直接、HPに投稿する。例えば、路面のトラブルでは投稿があった翌日に道路整備の担当の課が現地に向かうなど、武雄市は迅速な対策をとってきた。市の全職員400人弱がフェイスブックのアカウントを取得、最新情報が随時配信される「いいね!」ボタンに市民を中心とした1万4000人超が登録している。「市民の何割が登録しているかは把握できていないが、市のHPに書き込みをする人の約半分が市民、半分は市外だとみている」(同市フェイスブック・シティ課の浦郷千尋氏)という。

浦郷氏は導入の成果について「市で何が起きているのか効率よく情報を収集でき、市民の声に素早く対応できる。実名登録なので意見の投稿も建設的だ」と話す。HPの運営費用も、フェイスブックを利用する前に比べて安くなっているという。

自治体の主なソーシャルメディア活用事例
自治体名ソーシャルメディア特徴
佐賀県武雄市フェイスブック最新情報が随時配信される「いいね!」ボタンに1万4000人以上が登録。
宮崎県川南町フェイスブック町の職員全員、約170人が登録。
茨城県つくば市ツイッターフォロワー(閲覧者)数が1万7000人超。市の災害情報などを発信。
宮城県ユーチューブ「たすけあいジャパン」が運営する被災地の最新情報を集めた動画サイトを県のHPに掲載

※5月17日時点

IT(情報技術)に疎い人はどうすればいいのか。いわゆる「デジタル・デバイド」の問題も当然出てくるだろう。同市ではフェイスブックのアカウントを持っていない市民や、パソコンなどを使いこなせない市民に情報が伝わりにくい弊害を解消するため、市民を対象に「ICT(情報通信技術)寺子屋」を定期的に開催している。

武雄市と同様の取り組みは、他の地域にも広がりつつある。東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市は、武雄市を参考に今夏をメドに市の公式HPとは別にフェイスブック上での公式サイトを立ち上げる。武雄市のフェイスブックページの立ち上げに携わった同市職員の古賀龍一郎氏を4月から職員として1年の期限つきで招き入れた。

宮崎県川南町も約170人の職員がフェイスブックのアカウントを取得。4月末から行政と市民の双方向でのやりとりや、各課ごとの情報共有の効率化を狙い、フェイスブック上での情報発信を始めた。

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