2019年8月20日(火)

高村薫、宮部みゆき… この夏に読みたい10冊 1~6月書評閲覧ランキングから

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2013/8/10付
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(毎日新聞社・上下各1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています。以下同)

(毎日新聞社・上下各1600円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています。以下同)

うだるような暑さが続くこの8月。お盆休みに持って行く1冊は何がいいだろう。あれこれ迷わず大作に挑戦するチャンスかも知れない。2013年1~6月に電子版に掲載した書評で閲覧数の多かった本から緑陰にお薦めの10冊を選んでみた。(「高村薫、自著を振り返る」と1~6月の書評ランキングを後半に掲載しています。文中敬称略)

帰ってきた合田雄一郎

書評がよく読まれるのはよく売れていることを必ずしも意味しない。この2年間の検索ランキングでは、ある特定分野の新知識を詰め込んだ書籍が上位を占めてきた。逆に誰もが題名を知っているようなヒット作は案外影がうすかったのである。しかし今年は180度様変わり。ミステリー、時代小説といったジャンルで大物作家の渾身のベストセラーがズラリ並んだ。これも景気が上向きつつあるアベノミクスの影響だろうか、ノウハウものよりエンターテインメント系の大作が勢ぞろいだ。

(新潮社・第1部~第3部各1800円)

(新潮社・第1部~第3部各1800円)

ランキング第1位は「冷血」(高村薫著)。主人公は僕らの時代で最も人気ある刑事の1人、合田雄一郎。T・カポーティーのノンフィクションノベル「冷血」をモチーフに、未解決の「世田谷一家殺害事件」をモデルに事件の真相に迫っていく。ここ約10年は宗教と政治を扱うなどの作品を発表してきたが、今回のテーマは動機不明の殺人。しかし短絡的に「ミステリーの女王・高村薫が帰ってきた」と早合点してしまうとワナにはまる。何しろ「私は確信犯的」とうそぶく著者なのである。行間のあらゆる箇所に仕掛けが入っていると思った方がいいかも知れない。


(NHK出版新書・860円) 

(NHK出版新書・860円) 

2位はもう1人の女王・宮部みゆきの「ソロモンの偽証」。著者初の法廷ミステリーというが、こちらも当然一筋縄にはいかない。男子中学生の校舎からの墜落死を巡り、生徒たちが空前絶後の学校内裁判を開くストーリーだ。全3巻、2000ページを超える超大作だが著者の力業がさえ飽きさせない。優秀でいてもろく、凜々(りり)しいが幼さの残る中学生たちがに、知らず知らずに感情移入させられる。

卓越した知の巨人6人のインタビューをまとめたのが3位の「知の逆転」(吉成真由美編著)。文明観からお勧めの本などインタビューアーである編者の質問が卓抜で、先端サイエンスの知識を持たずとも十分楽しめる。数学者でIT企業共同創設者のT・レイトンを除けばみな70~80歳代だが枯れた印象が全くしない。常識を疑うだけでなく覆してみせるという気概に満ちている。こうした碩学(せきがく)に「今の若い人は守備範囲が狭い」などとガツンと言われると暑さにだらけてもいられない。

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