KDDI会長・JR東社長が語り合う被災地への思い

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2012/3/11付
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――この1年の復興の歩みをどう評価しますか。

清野 東北新幹線についていえば、観光需要は戻っていませんが、復興需要があり、地震前の水準まで戻ってきました。今後は常磐線や仙石線、三陸の沿岸線区をどう復旧していくかが課題です。津波で流された箇所については、同じ場所、同じ高さには線路を作れません。地元の方々ともさまざまな議論をしているところです。

最も考慮が必要なのは、高校生や病院に通う高齢者など、生活に公共交通手段が欠かせない方々です。気仙沼線については、先進的なBRT(バス高速輸送システム)を提案していますが、賛成の方も反対の方もいらっしゃる。時間をかけずに地元の方々の交通手段を確保することが大切だと思っています。

小野寺 通信の方は6月末までに、ほぼ復旧しています。今後は地域振興にどうICTを生かしていくかが大きな問題になります。たとえば、仮設住宅に単身で住まわれているお年寄りの安否の確認をどうするか。実はICTでいろいろなことができるのです。ただ、われわれのPR不足もありますし、自治体の方の手がそこまで回らないという実態もある。自治体と協力していろいろな取り組みをさせていただいていますが、復興という意味ではまだまだです。

風評被害も深刻です。去年の夏も那須に行ったのですが、ガラガラでした。原発から100キロ近く離れていると思うのですが、それでも首都圏の方々などは那須ではなく軽井沢や信州にと思われたようです。

清野 残念ながら、会津若松市は「福島」というだけで観光客が激減しました。どうしても放射能についての風評で足が遠のいてしまう。早く風評被害を減らすことが大きな課題です。

小野寺 小さなお子様を抱えている方は安全だといわれても心配なんだと思います。安全性をどう伝えていくのか、難しいところです。

清野 被災事業者の復興を後押しするため、東日本大震災事業者再生支援機構という会社ができ、私も社外取締役を務めています。二重ローンや、担保がないとお金を貸せないなどの問題に対応します。実際に貸し付けて、工場などが稼働するまでには時間がかかる。総論では仕事が必要だと理解されても、各論となると調整が難しく、時間がかかることも課題だと思っています。

小野寺 被災された皆さんにまず避難所に入っていただくところまではうまくやれたと思います。最初の3日くらいは食料が足りないという問題がありましたが、それもボランティアの方を含めて対応できた。原発をのぞけば、初動はよかったと思います。

問題はその後です。避難所生活から仮設住宅に移るまでの期間が非常に長かった。仮設住宅ではなく、自宅に戻られた方もいらっしゃる。つまり避難所から出た後のお住まいの形態はバラバラだった。そうしたさまざまな状況に対するケアが、人手不足のせいか、少し足りないような気がします。私の親もそうですが、地元を離れたがらないんですよ。被災された方々の心情を理解しながらどういった対応をとるか。課題です。

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