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コンプガチャ全廃へ グリー・DeNA・サイバーなど

ソーシャルゲーム業界、足並みそろえ自主規制

ソーシャルゲーム業界で「コンプリートガチャ(コンプガチャ)」と呼ばれる手法を廃止する動きが一気に広がっている。コンプガチャは複数カードをそろえると希少性の高いアイテムが入手できるもので高額課金の温床となっていた。消費者庁は来週にも違法との見解を公表する見通し。

これを受け、プラットフォームを運営するグリーやディー・エヌ・エー(DeNA)、ミクシィ、サイバーエージェント、ドワンゴ、NHN Japanの6社は9日夜、自社で開発する内製ゲームについて、コンプガチャを5月末までにすべて廃止すると発表した。また、6社のプラットフォーム上でゲームを配信する外部の開発会社(SAP)についても、コンプガチャの全面廃止に向けてガイドラインを作成し、早急に公開するとした。

決算会見に臨むDeNAの春田真会長(左)と守安功社長(9日)

DeNAの守安功社長は9日、SAPの扱いについて「これから消費者庁と議論しながらガイドラインを作成し、6社で足並みをそろえて対処したい」と話した。ただし、これらプラットフォーム大手によるガイドライン作成に先立ち、自主的にコンプガチャの廃止を進めるSAPが相次いでいる。

自主規制が広がるSAP業界

サイバーエージェントは9日午前、SAPとして5月末までにすべてのコンプガチャを廃止すると決めた。サイバーエージェントは、子会社を通じて「神撃のバハムート」などの人気ゲームをGREEやモバゲーで配信している。

9日、サイバーエージェントの藤田晋社長は取材に応じ、「正直、カード合わせを禁じる法律を知らなかった。今朝、詳細が書かれた記事を読んで経緯を知り、納得したので、すぐにストップするよう役員にメールで指示しました」と語った。

一方、ソーシャルゲームで急成長を遂げている開発会社のKLabも9日朝、5月末までにすべてのコンプガチャを廃止する方針を固め、午後に発表した。同社はGREEやモバゲーなどに配信している「キャプテン翼モバイル」や「真・戦国バスター」といった12のタイトルでコンプガチャを取り入れていた。5月末までの期間限定で実施済みのコンプガチャがあるため、期間の満了を待って廃止とする。

KLabの真田哲弥社長は「すでに社内では、違法であろうとなかろうとコンプガチャを廃止する方針を決めており、廃止しても売り上げが下がらないよう、代替案を計画していた。業界で足並みをそろえて廃止しようと考えていたが、率先して廃止することに決めた」と話す。

藤田社長「この1年は異常だった」

有料のガチャで特定のカードを何枚かそろえたら希少(レア)なカードをプレゼントするコンプガチャは、ガチャの売り上げを2~3割ほど伸ばす効果があるといわれている。昨年後半からソーシャルゲーム各社が相次ぎ導入していた。サイバーエージェントの藤田社長はこう語る。

サイバーエージェントの藤田晋社長(9日、東京・渋谷)

「コンプガチャが出てきてからソーシャルゲーム市場が跳ね上がった。もともと高収益だったソーシャルゲームが、"異常"が付く高収益になった。みんなやらざるを得ない。でも、この1年は異常だった。僕もヘンだと思っていたし、いい機会だと思う。健全な成長をたどるよう、ちゃんと戻していきたい」

「焼き畑」を生んだコンプガチャ

少数のユーザーが使いすぎる傾向にあると、それを抑制するよう開発現場に指示していたというKLabは、もともとコンプガチャへの依存度が低いと説明する。廃止した場合、売り上げの減少は15%程度にとどまると見積もる。

一定回数以上イベントに参加したら、あるいは仲間に貢献したら、レアカードがもらえるといったイベントを代替案として企画中で、結果として「業績への影響は軽微」とする。「代替案の方がより本来の『ソーシャル』に近づくし、全体として盛り上がるようになり、中長期を考えれば売り上げが伸びる可能性が高い」(真田社長)。ガチャ依存に関しては、こう語った。

「コンプガチャの流行で業界全体としてガチャに依存する方向へと向かい、本来のゲーム性が失われていった。結果、何万円も使う一握りのヘビーユーザーを生み、使いすぎたユーザーがソーシャルゲームから離れていく『焼き畑』の状態となり、ソーシャルゲームの寿命が短くなってしまっていた。コンプガチャの廃止は、長期的に見ればポジティブ」

福嶋消費者庁長官「企業に注意喚起をしていく

コンプガチャは手っ取り早く収益を上げる手段として一気に普及した。呉越同舟で関係する事業者が乗っていたが、消費者庁の見解を受け、一斉に廃止する動きが加速した。

9日に会見した福嶋浩彦消費者庁長官は、コンプガチャについてこう指摘している。「子どもたちがレアカードを得るために何十万円も請求が来たという事例がありますので、そういったものは一定の規制をしないといけない。カード合わせの方法を使った景品提供は景表法が禁止する行為なので、問題点がある。企業のみなさんに注意喚起をしていきたい」

その注意喚起を待たずして、自主規制へと一気にかじを切ったソーシャルゲーム業界。事実上、違法行為を続けていたことになり、今後はユーザーからの損害賠償請求など、新たな火だねに悩まされそうだ。

(電子報道部 井上理)

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