健康管理から防犯まで 生活支える「電子の目」

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2014/4/21 7:00
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 家電や自動車など多種多様な「モノ」がインターネットにつながり、お互いに情報をやり取りするInternet of Things(IoT)。このIoTが個人の生活スタイルを大きく変え始めている。例えば、体に装着して健康情報を収集するセンサーをネットにつなぎ、利用者の健康を管理するサービスが登場。個人宅では、防犯機器が不審者を発見すると小型飛行ロボットが出動したり、白物家電が居住者のライフスタイルを分析し、ネットを通じてお得なクーポンを配信するといった取り組みも進んでいる。

【医療】 あなたのストレスは何%? 住宅メーカーが参入

「大勢の報道陣がいるからかな。心拍数は140に上がり、ストレスレベルも最大の100%になってしまった」。積水ハウスの阿部俊則社長は2013年11月の記者会見で、スクリーンを指さして、こうおどけて見せた(図1)。

図1 積水ハウスが開発中の「ウェアラブルセンサー」と、2013年の東京モーターショーで機能を披露する同社の阿部俊則社長

図1 積水ハウスが開発中の「ウェアラブルセンサー」と、2013年の東京モーターショーで機能を披露する同社の阿部俊則社長

投影されていたのは、刻々と変動する阿部社長の健康状態。肌に装着した「ウエアラブルセンサー」が心拍数や呼吸数などを測定し、インターネット経由で画面に表示されていたのだ。

モノとモノとがインターネットでつながり、新たな価値を生み出す「Internet of Things(IoT)」。積水ハウスはIoTを活用し、医療や介護といった新領域に乗りだそうとしている。その鍵を握るのが、2014年度内の実用化を目指して開発中の、ウエアラブルセンサーである。

約11センチメートル大の粘着型パッチにセンサーを搭載。体に貼り付けることで、体温やカロリー消費量、ストレスレベルなどをリアルタイムに収集し、住宅内のHEMS(家庭エネルギー管理システム)に蓄積していく。これらの情報をクラウドで分析すれば、体調変化を早期に発見できる。屋外ではスマートフォン(スマホ)や車載機器経由でインターネットに接続し利用する。

センサーには姿勢検知機能も搭載する。装着した人が急に倒れたら、心拍数などと組み合わせて危険性を判断。意識不明の恐れがある場合、インターネット経由で即座に家族に通知したり、救急車を呼んだりすることで、救命可能性を高められるとしている。

■一生に一度の買い物にチャンス

なぜ、積水ハウスがセンサーを開発しているのか。同社の石田建一執行役員はその意義をこう説明する。「家電や自動車を別のメーカーに乗り換える人は多いが、戸建て住宅を買うのは一生に一度。長期間にわたって個人の医療や健康に関する情報を預かるには、住宅メーカーが最適だ」。

単にセンサーを販売するのではなく、それが生み出すビッグデータをビジネスにする狙いもある。「蓄積したデータを生命保険会社などに提供すれば、割安な料率で保険を契約できるようになるかもしれない」と石田執行役員は期待する。医療機関や警備サービス会社などと提携し、新たな収益機会を創出したいとしている。

センサーを武器に医療分野の開拓を狙うのは、積水ハウスに限らない。東芝は東北大学などと共同で、体内に埋め込めるセンサーを開発中だ。

血糖値などの健康情報を、MEMS(微小電気機械システム)技術を使って体内でリアルタイムに収集。睡眠や食事などの生活情報と組み合わせたビッグデータに加工し、クラウド上に蓄積する。蓄積したデータを医師が生活習慣病の改善指導に生かせば、医療費の削減が見込める。2019年にも体内摂取型のセンサーを実用化し、10年後には数十万人規模で運用する計画だ。

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