カネを生むソーシャルゲームの功罪
モバゲー、GREE、mixi 三つどもえの軌跡

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2010/11/12 7:00
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このつぶやきに、ジャーナリストの佐々木俊尚氏が「実に慧眼(けいがん)」「ソーシャルゲームはますます下流食いビジネスへ」と反応。グリーの田中社長がイベントで「ヒットを狙うには、パチンコやテレビのような単純さが必要」と語った発言をとらまえて過熱するアンチ派に、経済への寄与を主張する肯定派がぶつかり、しばらく議論が続いた。

同じような議論は海外でもある。米国で急成長を遂げるソーシャルゲーム大手のジンガは、300万ドル以上を世界各国の非営利組織(NPO)へ寄付するなどして社会貢献のアピールに必死だ。翻って国内勢は社会貢献についてどう考えているのか。DeNAの南場社長に突きつけると、こう返した。

「我々が提供しているソーシャルゲームは、半分はコミュニケーションのツールみたいなところがあるわけですよね。だから、すごく落ち込んでいる時に励まされたり、学校に行きたくない時に背中を押されたり、ということもある。お互いにみんな『おつかれ』みたいな話をしていて、人のぬくもりとかつながりとかを感じることができる。私は、モバゲーやその上で繰り広げられているソーシャルゲームは、一点の曇りもなく素晴らしいものだと思っています」

膨大な人々の隙間の時間に入り込んだ影響力

グリーの田中良和社長。越したばかりの新オフィスでは瀟洒(しょうしゃ)なロビーが客を迎え入れる

グリーの田中良和社長。越したばかりの新オフィスでは瀟洒(しょうしゃ)なロビーが客を迎え入れる

グリーの田中社長も、同じような考えを披瀝(ひれき)する。「親子なり家族で、グリーの仮想ペットのソーシャルゲームを楽しんでいる人って、たぶん日本中に何十万人か何百万人か、いるわけです。そういう家庭を明るくするという社会貢献も、あると思う。あるいは、コミュニティーで知り合っていろいろ教えてもらって、勇気づけられるというのもあるでしょうし。そういう小さなプラスの積み上げが世の中を変えていくと、僕は思っているんです」

一方で、南場社長は膨大な人々の隙間の時間に入り込んでいるからこそ、もっと考えなければならないテーマがあるとする。

「学習なり、検索なり、それから人のつながりとゲームを全部まぜこぜにしたような、新しい領域があるかもしれない。学習とゲームを組み合わせた任天堂という素晴らしい先輩も見てきている。これだけ人間のマインドシェアとか時間シェアというのを持ったからには、影響力があるということ。ものすごくいいことを染み渡らせる可能性もある」

ソーシャルゲームは「下流食い」なのか。最終的には、お金を払う消費者が決めることだ。今のところ、マスマーケットは受け入れ、対価を払っている。

もう1つ、業界を揺るがしかねない社会問題がじわりと露呈しつつある。コミュニケーションを基盤にしたソーシャルゲームならではの問題で、かつての家庭用ゲーム機の時代にはなかった話だ。(次回に続く)

(電子報道部 井上理)

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