カネを生むソーシャルゲームの功罪
モバゲー、GREE、mixi 三つどもえの軌跡

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2010/11/12 7:00
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10年6月末、グリーは外部のコンテンツ事業者にプラットフォームを開放した。出遅れたグリーが用意した目玉は、家庭用ゲーム機の世界で実績を重ねたセガやスクウェア・エニックスといった大手ゲームソフト会社のメジャータイトル。田中社長自ら、トップ営業をかけて引っ張ってきた。

大手のタイトルに加えて、ベンチャーも多数、参戦。芸者東京エンターテインメント(東京・文京)というわずか20人の会社が提供した「おみせやさん」は、1カ月で100万人以上のユーザーを獲得するなど、内製以外のヒット作も徐々に生まれつつある。新たな内製のゲーム作りにも余念がない。モバゲーを追うように海賊バトルゲーム「海賊王国コロンブス」などの新作を投入し、首位奪還を狙う。

「てっぺんに登ることが、日本を元気にする」

この1、2年で突風が吹いたように日本中をハメたソーシャルゲーム。老舗のゲームソフト会社から、中国のベンチャーまでをも巻き込んだ、「ソーシャルゲーム戦国時代」へと突入した。いまだモバゲーとGREEの2強の成長の速度は衰えず、矢継ぎ早に新たな収益源を用意することで、さらなる成長余力も残している。

矢野経済研究所によると、09年度の国内ソーシャルゲーム市場は前年度比7.5倍の338億円へ急拡大し、10年度はその2倍以上の747億円、2011年度は1171億円へ成長すると予測している。ただし、この数字はアイテム課金など消費者が支払う金額のみで、付随する広告収入などは含まれていない。調査は今年6月時点のもので、その後の勢いを勘案すると、予測を上回る可能性は十分にある。

DeNAの南場智子社長。目線の先はグローバル市場だ

DeNAの南場智子社長。目線の先はグローバル市場だ

停滞する日本経済において、新たな市場が創出され、新たな雇用が生まれるのは、歓迎すべきこと。テレビCMや雑誌広告など2社による旺盛な広告出稿は、広告収入の低迷にあえぐメディア企業も潤している。さらに、グローバル市場へ挑戦することが日本経済全体を鼓舞すると、DeNAの南場社長は強調する。

「日本からグローバルリーダーが出ていないということ自体が、日本を元気じゃなくしていると思っていて。一番競争の激しい領域でてっぺんに登ったんだよ、中国人やインド人、アメリカ人と競争したって負けないんだよ、と見せることが、日本を元気にすることにつながると思う」

就労人口の3分の1を巻き込む社会的責任

「僕らは世界で1億人のユーザーを目指すという中期目標を立てている」と言うグリーの田中社長も同意見だ。勝算を問うと、こう答えた。

「日本のネット企業からグローバルプレーヤーが生まれないのは、単純に本当に真剣にお金と時間をかけて世界を狙った人があまりいないということだと思います。ゲームって、もともと成功している業界ですから、できない理由はない」

長期低迷から脱却できずにいる日本経済。製造業は中国に、ハイテク産業は米国、台湾、韓国に席巻され、日本の存在感はかすむ一方。確かにDeNAとグリーは、そんな日本経済にとって貴重な存在と言える。

だがソーシャルゲームは、その伝播力と収益力の高さゆえに、批判の矛先を向けられることも増えてきた。今年9月末の会員数はモバゲーが2167万人、GREEが2246万人。就労人口の3分の1に匹敵する多数の日本人を巻き込んでいることへの責任は大きい。

「ソーシャルゲームはますます下流食いビジネスへ」

不況下で国民の可処分所得は減少し続けている。その、なけなしのおこづかいが、アイテムという無形のコンテンツに消費され、SNS各社の利益となる。9月上旬、あるユーザーのツイッターでの発言が、ネット上で話題を呼んだ。

「サラ金(消費者金融)→パチスロ→法律事務所→ソーシャルゲームとTVCMに出稿する広告クライアントの主流は21世紀以降移り変わってきたけども、業態は違えど"これらのビジネスターゲット"が全く変わっていないことに注目すべき」

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