カネを生むソーシャルゲームの功罪
モバゲー、GREE、mixi 三つどもえの軌跡

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2010/11/12 7:00
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注目すべきは課金収入の高さ。10年1~3月の四半期、モバゲーはmixiの23倍、GREEの1.6倍に相当する119億円を、消費者の懐から得た。ミクシィに続くようにDeNAもオープン化戦略を打ち出し、モバゲーにも10年1月から他社製のソーシャルアプリがお目見えしている。だがモバゲーを牽引したのは、自社製だ。

GREEの一人勝ちを許すことになったソーシャルゲームを、DeNAは徹底して研究し、さらにユーザー同士の関係性を色濃く映すゲームを開発した。それが、オープン化のテストも兼ねて09年10月に投入した「怪盗ロワイヤル」だ。

プラットフォームと自前ソフトの両面で儲ける

モバゲーの首位奪還をけん引したソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」

モバゲーの首位奪還をけん引したソーシャルゲーム「怪盗ロワイヤル」

ユーザーは怪盗団のリーダーとなり、ほかのユーザーにバトルを仕掛けてお宝を盗む。最終的には、世界中のお宝を集める「コンプリート」を目指す。ほかのユーザーを手下として仲間に従え、協力し合うことも可能で、武器・防具・乗り物といったアイテムやお宝をプレゼントし合うコミュニケーションが必須となる。これが受けた。

女優の広末涼子さんなどを起用した旺盛なテレビCMの効果もあり、年明けからさらにユーザーが激増。ハマったユーザーがアイテム課金で次々とお金を使い、DeNAを潤した。海賊となってお宝を探す「海賊トレジャー」や自分の星を育てて発展させていく「ホシツク」など、ほかの内製ソーシャルゲームも順調にユーザーを獲得した。

ここに、オープン化によってモバゲーに参戦した外部のコンテンツ事業者による増収効果が上乗せになるから、勢いはさらに加速する。10年3月末で59社148タイトルがそろい、その数は2カ月後の5月末までに102社、241タイトルへと増大した。アイテム課金の決済はすべてDeNAが代行し、売り上げの3割を手数料として得ている。

アイテム課金に利用する「モバコイン」と呼ばれる仮想通貨の消費高は、今年1月からの半年間で11倍となり、中には月間のアイテム課金売上高が1億円を超えるようなゲームも複数出現。課金手数料は内製ゲームに次ぐ第2の収入源として軌道に乗った。

ミクシィと同じくオープン化に動き、外部の手を借りてプラットフォームの活性化を狙いつつも、自社製のゲームで大きなうまみを得る。まるで任天堂のようなモデルを駆使して、各種指標で一気にグリーを抜き去り、さらに強者連合でグリーを追い詰める。

パソコン向けでヤフーとタッグ

DeNAは10年10月、月間約500億ページビューを稼ぐ国内インターネット最大手のヤフーと共同で、パソコン向けのソーシャルゲームサイト「Yahoo!モバゲー」を立ち上げた。モバゲーと同じく、オープンなプラットフォームとして外部からコンテンツを集めながらも、怪盗ロワイヤルなど内製のヒット作も移植。携帯版のモバゲーと連携させることで、相乗効果も狙う。

「これまでなぜ、日本でだけパソコン向けのソーシャルゲームが流行っていなかったのか? それはヤフーとモバゲーが組んでいなかったから」。DeNAの南場社長がモバゲー関連のイベントでそう言えば、ヤフーの井上雅博社長も「ヤフーとDeNAは勝つ確率が最も高いコンビ」と受け、最強タッグを強調する。実際、わずか1カ月で約85万人の新規登録があった。

グリーからすれば、モバゲーにソーシャルゲームのお株を奪われ、巷にソーシャルゲームがあふれることでGREEの存在感が薄れるという憂慮すべき事態。「内製の強み」にこだわっていたが、ついにオープン化へと大きく舵(かじ)を切り、反転攻勢に出ている。

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