カネを生むソーシャルゲームの功罪
モバゲー、GREE、mixi 三つどもえの軌跡

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2010/11/12 7:00
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グリーの一人勝ちが鮮明となった09年。即効性を持って大量の実入りにつながるソーシャルゲームの威力を見せつけられたライバルが、指をくわえて見ているはずがない。まず動いたのが、「マネタイズ」で大きく水を空けられていたミクシィだった。

mixiを救った中国のソフトウエア会社

ミクシィは、mixiのプラットフォームを外部のコンテンツ事業者にも開放する「オープン化」戦略で先手を打つ。09年8月末、mixi上でさまざまなアプリケーションソフトを利用できる「mixiアプリ」を開始した。目指すは、NTTドコモの「iモード」のようなモデル。ミクシィが提供する課金決済システムを利用して売り上げが生じた場合は、その8割がコンテンツ事業者の手に渡り、残りの2割がミクシィの取り分となる。外部の力を借りて課金型のコンテンツを拡充する戦略だ。

コンテンツ事業者が利用できるのはmixiのプラットフォームだけではない。外部の事業者のアプリからでも、mixi上の友人関係「マイミク」の情報にアクセスできるようにした。ミクシィは、その最大の資産とも言うべきマイミクを利用した「ソーシャルアプリ」から、大ヒットが登場することに期待を寄せたのだ。その目論みは早くも実現した。

500万人以上が遊ぶ「サンシャイン牧場」はmixiに久々の活況をもたらした

500万人以上が遊ぶ「サンシャイン牧場」はmixiに久々の活況をもたらした

家庭用ゲーム機向けのソフトを提供していた大手ゲームソフト会社も巻き込み、開始時から130種類以上ものアプリがそろったmixiアプリ。その中にあって、低迷していたmixiに再び息を吹き込んだのは、中国に本拠を構える無名のソフト会社によるアプリだった。09年9月の正式公開からわずか1カ月で130万人ものユーザーを集めた「サンシャイン牧場」だ。

サンシャイン牧場は、野菜や果物、花の種を植え、虫取りや水やりなどの世話をして育て、あるいは鶏や牛、羊などの畜産動物を育て、収穫して販売しながらレベルアップを競う。ただそれだけのゲームだが、マイミクがマイミクを呼び、10年7月時点でmixi会員の4分の1にあたる508万人が参加する"お化け"ゲームとなった。

自前か否かが明暗を分ける

大ヒットの要因は、作物や畜産動物の成長過程にマイミクを介入させる仕組みを上手く演出したことだ。マイミクの牧場に訪問すると、害虫を入れたり、逆に駆除してあげたり、熟した作物のお裾分けをもらったりすることができる。すると、相手の収穫量に変化が生じる。

基本は、世話をしてあげればあげるほど、相手の作物や畜産動物はよく育つ。だからユーザーは競うようにサンシャイン牧場の仲間を増やし、お礼でお世話をしてもらうため、牧場仲間の世話を一生懸命こなした。結果、しばらく離れていたユーザーが舞い戻り、mixiは久々の活況に沸く。

「みんなの農園」「みんなの動物広場」「アニマルパラダイス」……。類似アプリも続々と登場して、いずれも100万人以上のユーザーを獲得。一方、09年10月にはパソコンの2倍以上のアクセスを稼ぐ携帯電話からもmixiアプリを楽しめるようになり、ミクシィは再び成長軌道に乗った。

08年8月以降、約150億件で足踏みしていた月間総ページビューは、10年3月には333億件まで急伸。同259.5億件のGREEを大きく超えることに成功した。連れて会員数の伸びも上向き、10年4月には国内のSNSで初めて2000万人を突破した。眠っていたmixi会員を揺さぶったソーシャルゲーム。だが、懸案だった収益の差は縮まらなかった。

10年1~3月の四半期、ミクシィの売上高は前年同期比25%増の39億円に伸びている。しかし同じ期間のグリーの売上高は93億円と、遠く及ばない。理由は明白。ミクシィは、自前のソーシャルゲームを開発していない。ゲームの開発ノウハウが社内に蓄積されていないことに加え、あくまでSNSのプラットフォームとして生き抜く戦略を貫いているからだ。

モバゲー、「怪盗ロワイヤル」で首位奪還

そんなミクシィを尻目に、驚異的な追い上げで主役の座を取り戻したのは、元祖ケータイゲームのモバゲーである。

10年1~3月期、モバゲーの売上高は139億円と前年同期に比べて2.6倍に飛躍した。10年3月の月間ページビューは、半年前に比べて3.5倍も増大し、616億件に達している。mixiの1.8倍、GREEの2.4倍の規模だ。

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