カネを生むソーシャルゲームの功罪
モバゲー、GREE、mixi 三つどもえの軌跡

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2010/11/12 7:00
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04年にパソコン向けの無料サービスとしてmixiとGREEが登場して以降、国内におけるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)はカメレオンのように変容を遂げてきた。

GREE人気を牽引した大ヒットゲーム「釣り★スタ!」

GREE人気を牽引した大ヒットゲーム「釣り★スタ!」

携帯電話向けのSNSと「無料ゲーム」を引っ提げ06年2月に登場したモバゲータウンが勃興すると、SNSの主戦場は友人同士で見せ合うパソコン向けの日記から「ケータイゲーム」へと移った。そして07年秋にグリーが投入した釣りゲーム「釣り★スタ!」が、その後のSNSの流れを決定づけた。

釣りスタの目的は、より多くの種類の、より大きな魚を釣ること。釣る操作は、携帯電話のボタン1つ。グリーは、そんなシンプルなゲームに、ソーシャルな要素、つまり友達や知り合いとなったユーザーとのコミュニケーションを巧みに絡め、釣果やアイテムを自慢したり競い合ったりする楽しみを演出した。これが、グリーに莫大な課金収入をもたらした。

確かに、ゲーム自体もアイテムも無料だ。釣りざおやリール、ルアーといったアイテムは、ゲーム内で魚釣りを繰り返し、「ポイント」を貯めれば交換できる。ただし、より大物や珍しい魚を楽に釣ることができる高級なアイテムとなると、交換までの道のりは果てしなく遠い。そこで重宝するのが「ゴールド」と呼ばれる仮想通貨である。

お金を払えば有利になる「無料ゲーム」

ゴールドは、釣具と交換することができる、もう1つのポイント。友達を招待したり、スポンサーのサービスや商品を購入したり、あるいはGREEの有料コースに入会したりすると増えていく。これが、ゲームにハマったユーザーには魅力的に映った。

例えば、「水神」という高級ざおは2万ポイントで交換可能だが、それだけ貯めるには、ハゼやカワフグ、ザリガニなどを約1000匹も釣らなければならない。ところが、ゴールドであれば1000ゴールドで交換できる。月額1050円が課金される「釣り★スタプラスコース1000」に入会すれば、その場で1000ゴールドが手に入り、即座に水神を手にできる。つまり、労力や時間を、現金で買うことができるのだ。

ハマったユーザーが、ゲームを有利に進めるためにお金を払う。あるいは友達を誘い、各社の営業活動に一役買う――。

巷(ちまた)で流行るソーシャルゲームは、ほぼ、このビジネスモデルで収益を上げている。当たれば、でかい。事実、釣りスタを始めとするソーシャルゲームは、グリーに驚愕(きょうがく)の好決算と、大量の新規顧客をもたらした。

ソーシャルゲームでモバゲーを抜いたGREE

09年6月期、グリーの通期決算は売上高が前年比4.8倍の139億円、営業利益に至っては同8倍の84億円まで急伸した。この決算期の1年間だけで、グリーは会員数を700万人以上も上乗せし、1260万人まで伸ばしている。ソーシャルゲーム効果は、さらに勢いを増す。

そのわずか3カ月後の09年9月末、GREEの会員数は1512万人に達し、「無料ゲーム」で躍進した先ゆく最大のライバル、モバゲーの1510万人を抜くことに成功した。同時点で、昔ながらの日記を中心としたコミュニティーサービスで地道に数字を積み上げていたmixiの会員数は1792万人と抜けていたが、収益面では完全に凌駕(りょうが)していた。

09年7~9月期、グリーの売上高はDeNA(SNS事業)の1.7倍、ミクシィ(同)の2.2倍にあたる68億円、営業利益はDeNA(全社)の1.3倍、ミクシィ(同)の4倍にあたる39億円に達した。わずか四半期で前年度の半年分を稼いだグリーの売上高のうち、課金収入の比率は78%。その高さが、2社との差を広げた。

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