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高解像度ディスプレーにため息 新iPad、驚きの表現力

LTEは国内で使えず

ジャーナリスト 石川 温

米アップルは3月8日、多機能携帯端末(タブレット)の新製品「iPad(新iPad)」を発表した。製品名は噂されていた「iPad3」でもなければ「iPad HD」でもなく、原点に返って「iPad」だった。

テレビを上回る解像度のモバイルデバイス

デザインは前モデルとなる「iPad2」とほとんど変わらない。このあたりは、すでに「iPhone4」から「iPhone4S」で全く変化がなかった「経験」があるだけに、さほど驚きはない。新iPadを触って、一目で驚き、ため息が出たのがディスプレーだ。

新iPadには高解像ディスプレー「Retina」を採用し、解像度は2048×1536まで高めた。テレビなどで「フルHD」と言われているのが1920×1080。もはや、テレビを上回る解像度をモバイルデバイスの新iPadが実現してしまった。米国での発表会見でフィル・シラー上級副社長が「(発表会場の)スクリーンの解像度ではiPadの美しさを表現しきれない」と、言い訳をしてしまったほどだ。

現物のディスプレーを見ると、誰もがはっきりと違いがわかるほどに進化している。まず体感できるのが写真だ。髪の毛、さらには肌の質感などもくっきりと表現してしまう。新iPadが内蔵する5メガピクセルの解像度のカメラでもくっきりと映し出せる。写真を撮る、見るといった行為は本来は楽しいものなのだが、もしかすると女性にはいやがられるのでは感じてしまうほど、細部までくっきりと鮮やかに表示できる。

 さらに驚くべきは文字の表現力だ。文字にはギザギザなどが全くなく、実になめらかに見える。まるで紙に印字された文字を読んでいるようで、目に優しいように感じられた。これなら長文のWebサイトを読んでも問題ないだろう。文字を思いきり小さく表示しても読めるし、逆に拡大するとなめらかに表示する。

米国で米アマゾン・ドット・コムの「Kindle(キンドル)」が売れたのは、「電子ペーパーで文字が見やすい」という利点があったからと言われている。新iPadのディスプレーは文字が見やすく、電子書籍や電子新聞などを読むデバイスとしても普及しそうだ。

ただし今回の新iPad、日本で残念なのは高速モバイル通信「LTE」への対応だ。米国ではベライゾン・ワイヤレスとAT&TモビリティがLTEに積極的なため、新iPadでLTE版も発売されるが、日本国内ではソフトバンクだけが扱うため、LTE機能がないバージョンが発売される。

昨年秋にiPhone4Sの扱いを始めたKDDIも新iPadの取り扱いをアップルと交渉しているようだが、具体的な導入時期は見えていない。LTEサービスを提供しているNTTドコモもiPadの取り扱いに関して不透明だ。

現状を見る限り、ソフトバンクモバイルがLTEサービスをすぐに始めるとは思えない。当面は日本では、新iPadをLTEで使えることはなさそうだ。

 高解像度のディスプレーにより、いままで以上に動画や静止画などのリッチコンテンツを閲覧する機会が飛躍的に増えそうなだけに、快適な通信ができるLTEでもすぐに使えるとうれしかった。

関西弁の問いかけにもしっかり反応

もうひとつ、日本で大きなトピックと言えば、音声アシストサービス「Siri(シリ)」への対応だ。iOSのバージョンが「5.1」となり、iPhone4SでSiriを使えるようになったのだ。ホームボタンを長押しすればSiriが起動し「ご用はなんでしょう?」と尋ねてくる。

実際にiOS5.1にバージョンアップさせたiPhone4Sで、Siriを使ってみた。

「天気は?」と日本語で話すと、すぐに現在地を判断して画面に5日後までの天気予報を表示してくれる。試しに「大阪の天気、どないやねん?」と関西弁で話しかけたところ、見事に表示してくれた。ただし、これは「大阪」「天気」という単語に反応した可能性があり、関西弁に対応しているのかは不明だ。

Siriでは、メールのチェックや送受信、アラームの設定、スケジュールの記入などにも対応。「iPadは買いですか?」という意地悪な質問に対しては「アップル製品について知っておいた方がいいことは、全部アップルのウェブサイトに書いてありますよ」とホームページへのリンクを知らせてくれる。

日本語の話し方がやや不自然なところが気になるが、答え方にもユーモアがあるようで、なんだか楽しい。日本語の認識は難しいかと思われたが、想像していた以上に認識してくれる。これからユーザーの声が蓄積されていけばさらに精度が増すと予想される。期待しても良さそうだ。

音声入力機能にも驚いた。メールなどの文章を入力するときに、マイクボタンを押して話しかけると、ほとんどの日本語を認識してクラウドにアップ。処理した結果を日本語テキストとして入力してくれる。ちょっとしたメールの返信などには全く問題ないほどの認識率だった。筆者は滑舌が良い方ではないのだが、それでも十分だったところから、認識度はかなり高いといえる。

今回のiOS5.1への対応を見ると、アップルがいかに日本市場を重視してるかがよくわかる。最新版が出たばかりだが、進化していくiOSの「次」が待ち遠しく感じられた。

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