「ヒットエンドランはリスク大」 統計分析が覆す野球のセオリー
スポーツを支えるIT(1)

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2011/8/15 7:00
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 人間的で「アナログ」な側面が大きいスポーツに、プロアマ問わず「デジタル」なIT(情報技術)が入り込んでいる。一部の競技では従来のセオリーを覆したほか、人間では不可能なことを補うようになった。
 プロ野球やバレーボールでは、選手の一挙手一投足をコンピュータに入力し、このデータを分析して作戦を立てることが当たり前になっている。テニスでは、イン/アウトの判定に複数のカメラでボールの軌道をとらえる技術を取り入れ、それを公式ルールに組み込んだ。
 本特集では「スポーツ統計分析の威力」「機械判定がもたらした変革」「使い心地を数値解析した用具開発」「ソーシャルを活用した競技振興と選手発掘」というポイントからスポーツ競技をITがどう変えているかを紹介する。別の視点から眺めることで、見慣れたスポーツが全く違うものに映るはずだ。

「一回裏の読売ジャイアンツの攻撃、ノーアウトランナーなしでバッターボックスには1番バッターの坂本勇人遊撃手。阪神タイガースの能美篤史投手が投げた2球目はインコース寄り真ん中のスライダー。打球はフライでレフト方向に上がり、スタンド中段に飛び込むホームランとなった」――。

■公式記録よりも細かなデータを入力

「ベースボールアナライザー」の入力画面。この画面で1球ごとのプレー内容を入力する。本文冒頭と画面内の試合経過は架空のもの

「ベースボールアナライザー」の入力画面。この画面で1球ごとのプレー内容を入力する。本文冒頭と画面内の試合経過は架空のもの

東京都世田谷区三宿にあるデータスタジアム本社の1室。テレビのモニターが多いものの、パソコン本体とディスプレーが机に並ぶ風景は、コンピューターシステム会社のオフィスとあまり変わりがない。実はこの部屋で、日本各地の球場で繰り広げられるプロ野球選手のプレー内容が、ほぼリアルタイムにデジタル化されている。オペレーターが球場に出向くことはほとんどなく、日によっては日本のプロ野球の全試合がこの部屋で並行して入力されることもある。

入力されたデータは、新聞社やテレビ局、ポータルサイト運営会社などに1球ごとに配信され、パソコンや携帯電話向けのサービスとして一般ユーザーの目に触れる。さらに様々な条件で絞り込みができるようにデータベースに蓄積される。各チームが新しい作戦を立てるうえでの基礎情報となり、チーム編成や選手育成などの用途でも活用されている。

データスタジアムの野球データ入力ルーム。試合中は高い緊張感で満たされるという

データスタジアムの野球データ入力ルーム。試合中は高い緊張感で満たされるという

1球ごとにプレーにインターバルがある野球は、ほかのスポーツよりも試合で発生するデータを入力しやすいといわれる。データスタジアムのオペレーターは球場から送られるリアルタイム映像をモニターで見ながら、パソコンで選手の一挙手一投足を入力していく。

入力するデータは、投手が投げたボールのコースや球速から、「ストレート」「カーブ」などの球種、「凡打」「単打」などの打撃結果、ボールが飛んだ方向やその打球を捕球した守備選手まで多岐にわたる。投球コースは、カメラの位置によって見え方が変わるため、微妙な補正を加えながらマウスでストライクゾーンを9分割したエリアに1球ごとにプロットしていく。このときに「時間情報」も同時に自動記録され、これは動画情報を抽出する際のキー項目として利用される。

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