2019年2月20日(水)

道路上空に津波避難タワー、静岡県吉田町が全国初の整備

2013/10/9付
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静岡県吉田町で、町道の上空に歩道橋を兼ねた津波避難タワーが完成した。道路の上空を活用して津波避難タワーを整備するのは、全国で初めてである。2013年9月23日に行った完成式典には太田昭宏国土交通大臣も出席し、「モデル的な取り組みとして、全国に広げていきたい」とコメントした。

町道の上空に完成した津波避難タワー(写真:吉田町)

町道の上空に完成した津波避難タワー(写真:吉田町)

東日本大震災を受けて吉田町は2011年11月、独自の調査に基づく「吉田町津波ハザードマップ」を制定。この際のシミュレーションで沿岸に高さ8.6mの津波が到達した場合、駿河湾に面する同町の総面積の約40%に相当する約8.6km2(平方キロメートル)が浸水することが判明した。

完成した津波避難タワーは、こうした浸水区域への津波対策の一部。小学校に避難できる区域などを除いて、2013年度末までに合計15基の津波避難タワーを整備する。15基のうち、道路の上空に整備する津波避難タワーは6基になる。

津波避難タワーを町道の上空に整備するのは、新たに用地を取得する必要がなく、早期に整備できるからだ。ただし、詳細設計に入る段階で、道路の上空に整備する津波避難タワーの設計基準がなかった。そこで、吉田町は国や静岡県などと検討委員会を設置。同検討委員会で「道路上に設置する津波避難タワーの標準仕様設計基準」を制定してから詳細設計した。

一方、道路の上空に津波非難タワーを整備するには、道路法施工令などで定める占用許可が必要。同町などの要望を踏まえ、政府は道路法施工令など改正する政令を2012年12月に公布し、2013年4月から道路の上空に津波避難施設などを整備できるようにした。

■液状化も想定して基礎杭を採用

津波避難タワーの構造(資料:吉田町)

津波避難タワーの構造(資料:吉田町)

道路の上空に完成した津波避難タワーは、9月末までに2基。いずれも上部構造が鋼床版鈑桁立体ラーメン構造で、下部構造が直径約1mの円形鋼製橋脚となっている。さらに、地震の際に液状化現象が生じる危険性を勘案して、基礎には鉄筋コンクリート製の基礎杭を採用し、最深部では約30mの杭を打設した。

津波避難タワーの床面の高さは、想定する最高の浸水高さより2.8mの余裕を確保している。例えば、浸水高さを3.7mと想定する場所では、床面の高さを6.5mとした。完成した津波避難タワーの床面積は1基が628m2(平方メートル)で、もう1基が419m2。前者は約1200人、後者は約800人避難できる。通常時は町道の横断歩道橋として利用する。

工事費は、床面積が628m2の津波避難タワーで約4.5億円。津波避難タワーの整備は都市防災総合推進事業として進めており、工事費の半分は国の補助金で賄う。

(フリーライター 山崎一邦)

[ケンプラッツ 2013年10月8日掲載]

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