2019年9月20日(金)

日米外交60年の瞬間 第3部

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中国が周恩来外相声明でソ連に同調 サンフランシスコへ(40)
日米外交60年の瞬間 特別編集委員・伊奈久喜

(6/6ページ)
2012/5/19 7:00
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対日平和条約署名の時期を早めようとして、アメリカ政府は、サンフランシスコ会議のなかで、対日戦を行った主要国である中華人民共和国を除外している。このようにして、アメリカ政府は、一九四二年一月一日の連合国宣言にいう単独不講和に関する規定を徹底的にくつがえしている。アメリカ政府が中華人民共和国を除外した上で、強制的にサンフランシスコで会議を招集する目的は、日本と戦争した連合国間に分裂をおこさせ、そして極東に新たな侵略ブロックを結成する点にあることは、きわめて歴然としている。アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの間の所謂「三国安全保障条約」と目下極秘裡に話しあわれている日米軍事協定の両方とも、この会議の行われている間か、あるいは会議が終ってから成立することになっているが、これは、全太平洋とアジアに住む人民の平和と安全に脅威を与えるものである。中華人民共和国を参加させないこうしたサンフランシスコ会議では、共通の対日平和条約を署名することは不可能である。たとえアメリカとその衛星国が対日単独平和条約をじかに署名したとしても、中国人民は、絶対にこの会議を承認しないであろう。

中華人民共和国中央人民政府は、連合国宣言、カイロ宣言、ヤルタ協定、ポツダム宣言及び協定ならびに極東委員会で採択された降伏後の対日基本政策などのような主要な国際文書にもとづいて、対日戦を行った主要国が準備し、かつ対日戦に加わった諸国の参加をえた上で、なるべくすみやかに、単独的ではない全面的な対日平和条約、つまり強制的でも独占的でもない公平かつ合理的な条約、また戦争に備えるためではなくて真に平和のための条約を日本と結ぶべきであるとかねがね主張してきた。この目的の実現をうながすために、中華人民共和国中央人民政府は、一九五〇年十二月四日わたくしに対日平和条約につき声明を発する権限を与え、また一九五一年五月二二日中国駐在ソヴィエト連邦大使エヌ・ヴェ・ロシチン氏に対日平和条約準備に関するソヴィエト連邦政府の具体的提案に全面的に支持する旨の覚書を送る権限を与えた。おおむねその声明と覚書に盛られている対日平和条約に関する具体的主張を、中央人民政府はひきつづき有効なものと考えている。

ここに中華人民共和国中央人民政府は重ねてつぎのとおり声明するものである。すなわち、対日平和条約の準備、起草及び署名に中華人民共和国の参加がなければ、その内容と結果のいかんにかかわらず、中央人民政府はこれをすべて不法であり、それゆえ無効であると考えるものである。

アジアの平和を回復し、極東問題を解決する上に真に貢献するために、中華人民共和国中央人民政府は、ソヴィエト連邦政府の提案を基礎に全面的な対日平和条約の問題を討議する目的で、対日戦に軍隊を派遣して参加したすべての国の代表からなる平和会議を招集すべきであると、強く主張するものである。同時に、連合国宣言、カイロ宣言、ポツダム宣言及び協定、ならびに極東委員会で採択された降伏後の対日基本政策を前提として、中華人民共和国中央人民政府は、対日戦に参加したすべての国々と全面的な対日平和条約問題につき、意見を交換する用意がある。

(東京大学・田中明彦研究室データベースより)

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