2019年9月22日(日)

日米外交60年の瞬間 第3部

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中国が周恩来外相声明でソ連に同調 サンフランシスコへ(40)
日米外交60年の瞬間 特別編集委員・伊奈久喜

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2012/5/19 7:00
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第三に、周知のとおり、対日平和条約の最大の目的は、日本を平和を愛する民主的な独立国とすることであり、また日本軍国主義の復活を防ぐことにより、日本が再びアジアと世界の平和をおびやかす侵略国とならないよう保証することでなければならない。しかるに、対日平和条約アメリカ、イギリス草案は、この点につきいささかも保証していないばかりでなく、かえってポツダム宣言及び極東委員会の降伏後の対日基本政策に含まれているこういった問題についての規定にやはり違反している。草案の安全保障条項及び政治条項は、日本軍隊にたいしてなんら制限を加えていないし、温存され復活しつつある軍国主義的団体について取締る規定がないし、更に人民の民主的権利にたいするなんらの保障も約束もしていないのである。事実アメリカ占領当局は、ここ数年日本において採択してきた措置のすべてによって、日本の民主化をはばみ、日本の軍国主義を復活させるのに全力をつくしてきたのである。アメリカ占領当局は、日本の戦争遂行能力を潰滅させようと考えているのではなく、極東委員会の政策にそむき、日本の軍事基地を拡大し、日本の秘密兵力を訓練し、日本の軍国主義的団体を復活させ、日本の戦犯を釈放し、かつ多数の追放分子を解除している。とりわけ朝鮮にたいする戦争において、アメリカ占領当局は、これまで日本の人的資源を利用し、自己の軍事的侵略を支援するため日本の軍需工業を発展させ復活させてきた。アメリカが日本占領を長びかせ、その占領軍を撤退させず、また日本を東洋におけるアメリカの侵略の前哨地として日本を支配することを容易にするために、更に草案は、日本との取決めにより連合国占領軍が長期にわたり日本に駐留できるようにしている。明らかに国際協定に違反するこういったアメリカ政府の計画は、アメリカにとり日本占領の政治的支柱となっている吉田政府から支持されているものである。アメリカ政府と吉田政府とは互いに共謀して日本の再軍備をはかり、日本人民を奴隷化し、かつて日本を潰滅寸前までみちびいた侵略の道にもう一度追いやろうとしているのみならず、アメリカの侵略計画に奉仕し、かつアメリカ政府のため火中の栗を拾うという属国と植民地への道に陥しこもうとしている。このことは、平和、民主主義、独立及び幸福を目指すもう一つの道を日本人民が進むのを妨げようという魂胆にでたものである。前記の草案の規定にしたがって、日米軍事協定は、目下秘密裡に協議されている。協議中のこの軍事協定は、対日平和条約アメリカ、イギリス草案と同様、中ソ両国を敵視し、かつて日本の侵略を蒙ったアジア諸国とその人民の安全をおびやかすものである。

したがって、アメリカ、イギリス両国政府が対日単独平和条約の署名を急ぐのは、決して日本における軍国主義の復活を防ぎ、日本の民主主義を助長し、アジアと世界の平和と安全を守るためではなく、日本を再武装させ、アメリカ政府とその衛星国のため新たな世界的な侵略戦争を準備するためであることは明らかである。中華人民共和国中央人民政府は、これにたいし断乎反対しないわけにゆかないのである。

第四に、アメリカ政府は、新たな世界的侵略戦争の準備を促すため、必ずや日本経済にたいする支配を一段と強化するに違いない。かつて中華人民共和国中央人民政府は、日本の平和経済の発展及び日本の他国との間の正常な貿易関係に制限を加えたり、またこれを独占するようなことがあってはならないとしばしば声明してきた。しかしながら、対日平和条約アメリカ、イギリス草案は、中ソ両国を敵視し、アジアの諸国をおびやかすような対日単独平和条約であるので、その経済条項もまた、中ソ両国にとどまらず、この平和条約草案を受けいれることができない多くの国国を除外している。

加えるに、アメリカ政府は更にアメリカの会社を通じ日本経済のなかで握ってしまった特権と、日本の平和経済に課した各種の制限とを利用して、これらの経済条項を一層自己の独占欲に適合させることができる。

このようにして、もしこの対日単独平和条約が署名されることになれば、アメリカに依存する日本経済の植民地的地位は、いっそう深まるであろう。アメリカの世界戦争計画にもとづき日本の軍事工業が生産を行なうようになるばかりでなく、一般工業もまたアジアにおけるアメリカの経済侵略にかしづくこととなろうが、これに反して平和経済を発展させ、人民の生活を向上させるための日本と中国及び他の隣邦との間の正常な貿易関係は、いっそう不法、かつ不合理な制限を受けることとなろう。このことは、日本人民とアジアの人民にとって災いとなり、中華人民共和国中央人民政府は、断乎反対しなければならないと考える。

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