日米外交60年の瞬間 第3部

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中国が周恩来外相声明でソ連に同調 サンフランシスコへ(40)
日米外交60年の瞬間 特別編集委員・伊奈久喜

(3/6ページ)
2012/5/19 7:00
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第一に、対日平和条約アメリカ、イギリス草案はアメリカ政府とその衛星国の対日単独平和条約を目指した産物であるので、この平和条約草案は、対日平和条約の主要目標に関して、声明のなかで中ソ両国政府がしばしば表明してきた意見を無視しているばかりではなく、この上もなく不合理なことに、対日作戦に加った連合国の系譜から公然と中華人民共和国をはずしているのである。第一次世界戦争後、日本帝国主義は一九三一年から一九三七年にかけて中国を武力で侵略し、更にたまたま太平洋戦争の勃発した一九四一年まで、全中国に向って侵略戦争をひきおこしたのである。

日本帝国主義に抵抗しこれを打破する戦争で、最も長期間悪戦苦闘をつづけるうちに、中国人民は最大の犠牲をはらい、また最大の貢献をしてきた。したがって、中国人民と彼等がうちたてた中華人民共和国中央人民政府は、対日平和条約の問題において最も合法的権利をもつ発言者であり、また参加者である。ところが、平和条約アメリカ、イギリス草案は、戦争中日本にあった連合国及びその国民の財産と権益の処理に関する条項で、適用期間を規定して一九四一年十二月七日から一九四五年九月二日までとし、かつ一九四一年十二月七日以前における中国人民が自力で抗日戦争を行っていた期間を完全に無視しているのである。中華人民共和国を除外し中国人民を敵視するこういったアメリカ、イギリス両国政府におけるごうまんな不法措置は、中国人民の決して許さないところであり、断乎反対するところでである。

第二に、領土条項における対日平和条約アメリカ、イギリス草案は、占領と侵略を拡げようというアメリカ政府の要求に全面的に合致するものである。一方では草案は、さきに国際連盟により日本の委任統治の下におかれていた太平洋諸島にたいする施政権の他、更に琉球諸島、小笠原群島、火山列島、西鳥島、沖之鳥島及び南鳥島など、その施政権まで保有することをアメリカ政府に保証し、これらの島嶼の日本分離につき過去のいかなる国際協定も規定していないにもかかわらず、事実上これらの島嶼をひきつづき占領しうる権力をもたせようとしているのである。

他方では、カイロ宣言、ヤルタ協定及びポツダム宣言などの合意を破って、草案は、ただ日本が台湾と澎湖諸島及び千島列島、樺太南部とその付近のすべての島嶼にたいする一切の権利を放棄すると規定しているだけで、台湾と澎湖諸島を中華人民共和国へ返還すること、ならびに千島列島及び樺太南部とその付近の一切の島嶼をソヴィエト連邦に引渡すという合意に関してただの一言も触れていないのである。後者の目的は、アメリカによる占領継続をおおいかくすために、ソヴィエト連邦にたいする緊張した関係をつくりだそうと企てている点にある。前者の目的は、アメリカ政府が中国領土である台湾のアメリカ占領長期化をできるようにするにある(前5文字ママ)。しかし中国人民は、このような占領を絶対に許すことができないし、またいかなる場合でも、台湾と澎湖諸島を開放するという神聖な責務を放棄するものではないのである。

同時にまた、草案は、故意に日本が西鳥島と西沙群島にたいする一切の権利を放棄すると規定し、その主権返還の問題について言及するところがない。実は、西沙群島と西鳥島とは、南沙群島、中沙群島及び東沙群島と全く同じように、これまでずっと中国領土であったし、日本帝国主義が侵略戦争をおこした際、一時手放されたが、日本が降伏してからは当時の中国政府により全部接収されたのである。中華人民共和国中央人民政府はここにつぎのとおり宣言する。すなわち中華人民共和国の西鳥島と西沙群島にたいする犯すことのできない主権は、対日平和条約アメリカ、イギリス案で規定の有無にかかわらず、またどのように規定されていようが、なんら影響を受けるものではない。

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