2019年2月18日(月)

「48時間でゲーム開発」世界イベントGGJの教育効果
ゲームジャーナリスト 新 清士

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2011/2/9 7:00
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ただ、クライマックスを迎えたことで、チームはやたらめったら興奮状態になった。データをアップロードして、とにかくゲームを完成させた。後に残ったのは、やり遂げたという達成感と強烈な興奮だった。途中の苦しみはどこかに吹き飛んでしまった。

「Life in Shadows」の画面。完成度が高く国際的に評価された

「Life in Shadows」の画面。完成度が高く国際的に評価された

終了後に、東京会場の全11チームが自分たちのゲームをプレゼンテーションした。筆者のチームが作った「SuperSneezeGalaxy(スーパーくしゃみ銀河)」の評判は上々で、チーム一同ほっとした。お題は同じでも各チームの開発スタイルはさまざまで、一つとして同じものがなかったことにも驚かされた。

世界各地も終了時間を迎え、次々に新しいゲームがアップロードされる。自分たちのゲームを遊んでほしいというメッセージが世界からツイッターに流れてくる。完成度の高いゲームは世界中の注目を集め、とても48時間で作ったと思えないゲームもあった。例えば、同じ東京会場の「Life in Shadows」は、このまま商品になるのではと思えるほどの出来だった。それらのゲームを見ていると、今度は反省材料が山のように浮かんでくる。

■アイデアと意思決定の訓練に格好

東京会場での開発終了後のプレゼンテーションの様子

東京会場での開発終了後のプレゼンテーションの様子

参加してみて、このイベントが短期間で世界的に盛り上がりをみせるようになった理由がよくわかった。とにかく、ゲームを作ることが楽しい。ジャズのジャムセッションのように、即興で自分の持つ実力をすべて使い、チームに貢献するために何かをする。無駄を削ぎ落として、短時間にゲームのおもしろさを真剣に考え、意思決定しなければならない。

欧米のゲーム企業には、こうした手法を社内に取り入れようとする動きもある。カナダBioWareの米オースティンスタジオでゲームデザイナーを務めるブレイク・ロブウチェ氏は企業内ゲームジャムを推奨している。昨年11月に行われたモントリオールゲームサミットで、ロブウチェ氏は「24時間とか48時間のゲームジャムは、短い間にアイデアを出して意思決定をする訓練として適切だ」と語った。しかも、リスクはゼロである。多くの教訓を得られるが、失うものはその短い時間だけだからだ。

GGJの方法論の有効性は、回を重ねるにつれて世界に浸透しつつある。ゲームを作る楽しさを知り多様な開発を体験する学習方法として、日本でも認知されていくことになるだろう。

新清士(しん・きよし)
 1970年生まれ。慶應義塾大学商学部及び環境情報学部卒。ゲーム会社で営業、企画職を経験後、ゲーム産業を中心としたジャーナリストに。国際ゲーム開発者協会日本(igda日本)代表、立命館大学映像学部非常勤講師、日本デジタルゲーム学会(digrajapan)理事なども務める。

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