ヤフー経営陣「総入れ替え」でソーシャル強化なるか
ブロガー 藤代 裕之

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2012/3/9 7:01
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日本のネット企業の先頭を走るヤフーの経営陣の交代が、3月1日に発表された。業績好調な同社だが、取締役4人のうち、創業時から社長を務めた井上雅博氏を含む3人が退任するという「総入れ替え」である。役員の平均年齢は一気に10歳以上若返り、一度は退社していた人物をモバイル担当の新設ポストに据えるという同社の大胆な交代劇は、ソーシャルメディアへのシフトを明確に物語っている。

■SNSを使いきれなかったという経営トップ

記者会見する(左から)ヤフー次期社長の宮坂学氏、会長の孫正義氏(1日、東証)

記者会見する(左から)ヤフー次期社長の宮坂学氏、会長の孫正義氏(1日、東証)

ネットの世界では、スマートフォン(高機能携帯電話)やソーシャルメディアが猛烈な勢いで伸びている。だが井上社長は今回の記者会見で、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が苦手で使いきれておらず、携帯電話をかばんに入れていると語っていたという。ネット企業のトップによる、この「引け目」的な発言は、ソーシャルメディアで大きな話題になった。

経営指標を見ると、ヤフーの業績は好調だ。1月に発表した第3四半期決算によれば、2011年度の売り上げ見通しは約3000億円、経常利益は約1600億円で、上場企業のトップ50に入る。自己資本比率は8割で、創業以来、増収増益。時価総額も1兆円を超えており、時価総額ランキングでは新日本製鉄や住友商事、東芝、東海旅客鉄道(JR東海)と並ぶ。ソーシャルゲームで勢いのあるグリーの時価総額は約6000億円だ。1996年の創業から短期間でここまで伸ばし、日本のネット利用に貢献してきたのは、間違いなく井上社長の功績といえる。

ところが今回の発表では、取締役だけでなく執行役員も変わり、まるで危機に陥った企業の起死回生策のようだ。業績的には磐石に見えたヤフーだが、ここ数年の同社の動きをウォッチしていれば思い当たる節がある。

■もはや「タイムマシン経営」も通用せず

実はヤフーは、いち早くソーシャルメディアにチャレンジしていたものの、失敗続きだった。

06年にスタートしたSNSの「Yahoo!Days(当初は「Yahoo!360°」だった)」は、11年10月にサービスを終了した。実名性に注目し、米国で流行した「LinkedIn(リンクトイン)」を模したビジネスSNSといえる「CU」は08年に開始したが、1年を待たずに閉鎖された。登録者数が伸び悩み、事業化のめどが立たなかったからという。ディー・エヌ・エー(DeNA)とは共同で「Yahoo!モバゲー」を展開しているが、ヤフーのサービスで「Yahoo!オークション」以外は、成長しているとは言い難い。

1月25日に行われたアナリスト向けの決算説明会で、井上氏は「タイムマシン経営」が通用しなくなっていることも示唆している。

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