回らない・安くない…回転ずし、都心攻略で「変身」

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2012/11/10付
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 「105円均一」でデフレの波をとらえた低価格回転ずしの成長に陰りが生じている。大手3社の国内店舗数が1000を超え、主要立地の郊外で競合が激化、既存店売上高が前年割れし始めた。原材料価格上昇も収益を圧迫する。各社は空白地帯の都心部に活路を求める。そこで挑む新事業モデルは「回らず」「安からず」。従来の強みをかなぐり捨て、再成長を模索する。

■元気寿司 高速レーンのみ、商品ロス「ゼロ」

 10月下旬の午後8時、JR渋谷駅近くの繁華街にある「魚べい 渋谷道玄坂店」は全90席の大半が学生や仕事帰りの会社員で埋まった。元気寿司が7月に開いた都心1号店。回転ずしチェーンなのに、おなじみの回転レーンが見当たらない。

 店内にあるのは、注文を受けた皿を直接客席に届ける3段重ねの高速レーンのみ。郊外の出店余地が狭まるなか、同社はこの店舗モデルで新規立地の都心に攻め込む。

 注文したすしが届くまでの時間は原則1分以内。シャリ玉を自動的に皿に盛りつける最新鋭のすしロボットも導入した。「商品の鮮度ではどの店にも負けない」(小柳明地区マネジャー)

 最近、回転ずしでは出来上がりから時間がたったレーン上の皿を敬遠する客が増えている。従来の魚べいでは、回転レーンに併設した高速レーンでの売上高が全体の約7割と3年前より30ポイント高まっている。

 元来、回転ずし業態は売上高に占める商品・食材の廃棄ロス比率が平均6%前後と、外食業界でも高い水準にある。元気寿司は5%前後に抑えているが、原材料価格の上昇を受け「合理化に一段と取り組む必要に迫られていた」(佐伯崇司社長)。出店コストの高い都心部ならなおさらだ。

 直線型の高速レーン3列のみが並ぶ渋谷の店は商品ロスが実質ゼロ。厨房のすし作りはロボット2台が主にこなす。レジと注文用タッチパネルを連動させたため料金計算は皿を数える必要がなく、廃棄の手間もかからないので、ピーク時の従業員数は約15人と従来より5人減った。

 同社が都心部での展開を目指すのは同タイプの小型店。カウンター席のみの渋谷の店は客の滞在時間が約30分と従来店より3割短い。回転率が高いため、通常より3割狭い約250平方メートルの面積で、105円均一を維持しつつ採算がとれている。「牛丼店と同サイズ(約170平方メートル)でもいける」(佐伯社長)。出店費用も低く、機動的な出店が可能とみる。

 一見「高速レーンずし」はいいことずくめだ。実際、業界の頭痛のタネである原材料費と人件費の上昇を克服できるとあって「今後の主流になるかもしれない」という声が業界に広がる。ただし不安材料もある。

 すしは外食業界の中でも昼食と夕食の間の集客力が低い。賃料の高い都心部では、この「アイドルタイム」が重くのしかかる。同社は渋谷の店でパフェなどデザートを導入し、カフェ需要取り込みをもくろむ。だが、ファストフードや喫茶店が集積する都心部では、この分野の競合が激しい。

 客を視覚で楽しませる回転レーンを取り払ってまで挑む都心で、新モデル店はスタート時の好調を維持し続けられるか。同業他社の関心は高い。

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