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丸ごとレビュー 万一に備え PCファイルがっちり守る

容量無制限のオンラインストレージ(下)

フリーライター 竹内 亮介

AOSテクノロジーズは4月7日、容量無制限のオンラインストレージが利用できるファイルのバックアップサービス「AOSBOX Cool」を開始した。前回はその特徴と他社サービスとの違い、導入方法などを解説した。今回はバックアップしたファイルの状況やスマートフォンなどとの連携機能、バックアップしたファイルをパソコン上に復元する機能を紹介していこう。

容量無制限、秘密は「コールドストレージ」

容量無制限のオンラインストレージが利用できるAOSBOX Cool

AOSBOX Coolでは、バックアップしたファイルの状況を、パソコンのウェブサイトやスマートフォンのアプリから確認できる。ウェブサイトにアクセスし、IDとパスワードでログオンすると、バックアップしたファイルがフォルダー構造ごと保存されていることがわかる。

オンラインストレージサービスでは当たり前の機能ではある。ただ、マイクロソフトのワンドライブやグーグルのグーグルドライブと違い、保存されたファイルのダウンロードには3~5時間と、長い時間がかかる。これはAOSBOX Coolが、「コールドストレージ」というタイプのオンラインストレージであることに起因する。

Cドライブ以下のフォルダーに、バックアップしたファイルが保存されている

コールドストレージとは、テープドライブなどコストは非常に安いが、アクセス速度が遅いストレージデバイスを使ってファイルを保存するソリューションのことだ。ファイルのダウンロード速度や応答性は低いので、更新頻度やアクセス頻度が低いファイルの保存に適している。

これに対し、ワンドライブやグーグルドライブでは、パソコンでも使われているHDDやSSDなど、容量あたりのコストは高いが応答性とダウンロード速度に優れるデバイスを使う。その特性からファイルの更新頻度やファイルの応答性を重視するサービスで利用される。

ウェブブラウザ経由でファイルをダウンロードしようとすると、「数時間後にリンクをメールする」と表示される
画像データはこのようにウェブブラウザからでも即時表示可能

この2つでは、保存したファイルを取り出すためにかかる時間が大きく違う。ワンドライブやグーグルドライブでは、ウェブサイト上からファイルをほぼタイムラグ無しにダウンロードできるのに対し、AOSBOX Coolでは数時間かかる。これは両者の特性の違いによるものだ。

iPhone5sでAOSBOX Viewerを起動し、画像データを表示している画面

そのため、出先からアクセスしてすぐにファイルを取り出し、仕事を継続するというような用途には向かない。その半面、自分のパソコンが壊れて復旧が危ぶまれる、という「めったにない状況」に備えるため、大容量ファイルをバックアックしなければならない用途には、容量面で有利なAOSBOX Coolの方が向く。

画像ファイルは、ウェブサイトやスマートフォンからリアルタイムで閲覧できるようになっている。一般的なファイルのように「ダウンロードに数時間かかる」ということはない。ただし実ファイルのダウンロードでは同じように数時間かかるので、おそらくはサムネイルを応答性の高い領域に別途保存しているのだろう。

スマートフォンやタブレット用のアプリはiOS用とAndroid用を用意しており、フォルダー構造ごと保存されているバックアップファイルの状況確認、画像ファイルの表示機能、保存されているファイルのダウンロード機能などが利用できる。また前述したコールドストレージという特性上、画像ファイル以外はスマートフォンやタブレット上で表示できない。

復元は設定終了後、電源オンで放置

AOSBOX復元ユーティリティーを起動し、ファイルを指定する画面。全部まとめて復元するなら「ストレージ」にチェックを入れればOK

古いパソコンでバックアップしたファイルを、新しいパソコン上で復元するには、パソコンにインストールしたユーティリティーを使う。ファイルの指定は、ウェブブラウザーやスマートフォンから見たときと同じようにフォルダー構造から指定する。まとめて一括で復元する場合は、最初に表示される「ストレージ」というチェックボックスにチェックを入れればよいので簡単だ。

ただし、例えば画像ファイルのみを復元したい場合は、目的のフォルダーのありかをきちんと把握し、そこまでフォルダー構造をたどらなければならないことがちょっと面倒だ。バックアップ対象を設定する「おまかせバックアップ」では、大まかなファイルのくくりのみを選択するだけでよかったのが便利だった。復元でも同じような仕組みがあると、もっと便利だろう。

復元作業の設定画面。復元場所や復元するファイルの設定が行える

バックアップされたファイルは、同じ場所ではなく異なる場所にも復元できる。ただし複数のファイルやフォルダーを復元する場合、それぞれ個別で設定できるわけではない。基本的には同じ場所に復元した方がトラブルは起きにくい。こうした設定さえ終わってしまえば、あとはパソコンの電源を付けたまま放置しておけばよい。

復元作業の「準備」には、ファイルのダウンロードと同じように数時間かかる。その上で、オンラインストレージからのファイルのダウンロードや保存作業などが必要だ。

パソコンの復元には1~2日

バックアップしたファイルの容量やインターネット回線の状況にもよるが、丸1日か2日くらいはパソコンを放置しておく必要がある。ちょっと時間はかかるのは事実だが、手動でファイルを移動する場合のようにパソコンにつきっきりになるよりはずっと楽だ。

いろいろと細かい設定をしようとすると、かゆいところに手が届きにくいという印象がある。しかし新しいパソコンへの移行作業では、細かい設定は基本的に必要ないことのほうが多い。最初に紹介したように、バックアップしたファイルを全部一括で復元する方針で運用すると楽だ。

アウトルック2013では受信メールは正しく復元された

メールデータやお気に入り、ブックマークファイルや画像データなども、きちんと正しい場所に復元された。ただマイクロソフトのアウトルック2013でメールデータの移行を試したところ、受信メールは移行できたが、メールアカウントは復元されていなかった。若干ながら手動でフォローする必要がある部分もあるようだ。

グーグルドライブなどとの「使い分け」が重要

容量無制限のオンラインストレージ、というインパクトが非常に強いAOSBOX Coolだが、使い込んでみるとコールドストレージの特性に起因する使いにくさはある。特にオンラインストレージを、パソコンやタブレットの追加記憶媒体の代わりとして使っているユーザーにはあまり向かない。同じオンラインストレージを利用するサービスではあっても、ワンドライブやグーグルドライブと競合するサービスではない、ということをよく理解したい。

バックアップの重要性を認識するのは、たいていは「パソコンが故障して重要なデータを失った時」だ。そして個人が持つファイルの容量は以前に比べ、格段に増加している。一昔前は容量制限のあるワンドライブやグーグルドライブでも、個人ファイルをバックアップできたが、さすがにもう数十ギガバイト程度では足らないという人ばかりだろう。

つまり、こうした2つのサービスは補完関係にあるのだ。更新の頻度が低く、外出先から必要になることも少ない大量のバックアップデータは、AOSBOX Coolなどコールドストレージでしっかりと保護する。そして外出先でタブレットから利用したいデータは、ワンドライブやグーグルドライブに保存する。こうした賢い使い分けをすることで、パソコンやタブレットをより安全に、しかも便利に使えるようになるわけだ。

竹内亮介(たけうち・りょうすけ)
 1970年栃木県生まれ、茨城大学卒。毎日コミュニケーションズ、日経ホーム出版社、日経BP社などを経てフリーランスライターとして独立。モバイルノートパソコン、情報機器、デジタル家電を中心にIT製品・サービスを幅広く取材し、専門誌などに執筆している。

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