「Facebookの投稿を分析」 トレンドの新セキュリティー戦略

2012/8/8付
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写真1 トレンドマイクロの新戦略を説明するエバ・チェン代表取締役社長兼CEO

写真1 トレンドマイクロの新戦略を説明するエバ・チェン代表取締役社長兼CEO

トレンドマイクロは2012年8月7日、同社がセキュリティーソフトを提供するための基盤データベース技術「Trend Micro Smart Protection Network(SPN)」を拡充する新戦略を発表した。今後実装を進め、セキュリティー対策サービスを通じて獲得・蓄積した膨大な「ビッグデータ」をサービスの改善に生かす体制を整える。

エバ・チェン代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)は「サイバー攻撃に関するビッグデータを分析して使えば、攻撃の裏に何があるのかが分かり、これまでより能動的な対策を打ちやすくなる」と強調した(写真1)。

SPNとは、トレンドマイクロが提供するウイルス対策ソフトやセキュリティー対策ツールなどで共通して使われる、データベースを核としたネットワークのこと。このデータベースには、ウイルスパターンや不正URLリストなどのデータを集積している。

トレンドマイクロはこれまでも、ウイルスや不正プログラム、サイバー攻撃などの情報をデータベースに蓄積していたが、新戦略ではモバイルアプリケーションのプライバシー侵害度や電力消費量といった要素もデータベースに取り込む。これによって、プライバシーを侵害したり、電力を浪費したりする「迷惑アプリ」を排除しやすくする。

■Facebookとの提携で不正URL収集を加速

既存の「Webレピュテーション」機能も強化する。トレンドマイクロが独自に収集したり、他のネット事業者を通じて集めたりするWebサイト情報を分析・評価し、「不正URL」だと見なされるものを自動的にブロックする。

この前段階として、トレンドマイクロは2012年4月に、米Facebook(フェイスブック)と提携した。投稿されたURLのリンク先が不正なものでないかを自動評価する仕組みを、Facebookに提供している。

写真3 競合2社との「パターンファイル」のサイズ比較を示すエバ・チェン社長

写真3 競合2社との「パターンファイル」のサイズ比較を示すエバ・チェン社長

写真2 「相関分析」を図式化したスライド。攻撃元などをたどることができる

写真2 「相関分析」を図式化したスライド。攻撃元などをたどることができる

Facebookの利用者は10億人近くに上る。提携先であるトレンドマイクロは、Facebookに投稿されるURLを含めて、1日3億件以上の新しいURLを評価・処理している。こうして膨大な不正URLリストや、Webサイトに埋め込まれた不正プログラムのデータなどがビッグデータとして蓄積される。

トレンドマイクロは、形成したビッグデータに相関分析を加えて、セキュリティー強化に役立てる取り組みを推進(写真2)。相関分析すると、攻撃の手口が似通っているグループがある、このグループの攻撃元をたどると一定の場所に集中している、といったことが分かってくる。これを基に、警察当局に情報提供して"犯人"の検挙につなげたり、攻撃パターンを事前に予測して対策を取るプログラムを作成したり、というように、セキュリティー対策の選択肢が増えるわけだ。

トレンドマイクロのSPNと同様の技術は、競合のセキュリティー対策ベンダーも持っている。競合他社との違いを問われたエバ・チェン社長は、「クラウド時代のサービスは、参加する人が増えれば増えるほど力を増す。Facebookとの提携などでサンプル数を増やし、分析力を高めている我々は有利だ。さらに、クラウド側にデータベースの大部分を置くため、他社製品に比べてユーザーが持つ『パターンファイル』のサイズが小さくて済む」と答え、自社の優位性を強調した(写真3)。

(ITpro 清嶋直樹)

[ITpro 2012年8月7日掲載]

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