「ブラビア」旗艦機種 高コントラストだが新味不足
ソニー「ブラビア KDL-55HX950」

ソニーは大型液晶テレビのブラビアシリーズで、従来のフラッグシップモデルより一段上のシリーズとして55型と65型の2機種を11月10日に追加した(評価対象は55型)。バックライトに部分駆動対応の直下型「新インテリジェントピークLED」を導入し、従来の方式に比べて黒を引き締め、明るい部分はさらに明るく描写する高コントラストな映像を実現するという。
地上/BS/110度CSデジタルチューナーを2基搭載。2基のうち1基は裏録専用チューナーとなる。外付けHDDへの録画機能も備える。
劣化した映像を復元し美しく再現する高画質回路技術「X-Reality PRO」、滑らかな映像表現を可能にする「4倍速」技術、外光の反射を抑えクリアな映像を実現する「オプティコントラストパネル」も従来機種から引き継いだ。デザイン面ではシンプルな「モノリシックデザイン」にループ型のスタンドを加えた。ネットワークサービスの「ソニーエンタテインメントネットワーク」も利用できる。
無線LANを内蔵し、WiFiダイレクトモードにも対応、DLNAクライアント機能も備える。実売価格は38万円前後、販売目標は非公表。
【日経産業地域研究所研究員の視点】

今年の家電夏商戦ではロンドン五輪の開催に伴う特需はほとんどみられなかった。比較的好調だったのは外付けHDDなど一部のテレビ周辺機器などにとどまり、「薄型テレビにスポーツイベントによる特需が期待できる時代は終わった」(調査会社BCNの道越一郎アナリスト)と言う。
テレビの販売不振、急速な価格下落にもかかわらず、各メーカーは秋の新製品を投入し続けている。ソニーは「画質や技術の進化を認知してもらうため」(広報センター)と定期的に新製品を発表する意義を説明する。ただ、今回の製品は高額のフラッグシップモデルの割には、バックライトの改善以外に目新しい技術はそれほど見当たらない。画質の改善に加え、インターネットとの連携強化でコミュニケーション機能は強化しているが、消費者を動かすには力不足かもしれない。
従来のテレビの概念を超える製品開発や新しい販売方法を見いださなければ低迷からの脱出は難しいだろう。
価格 | 実売38万円前後 |
販売目標 | 非公表 |
発売 | 11月10日 |
画素数 | 1920×1080 |
チューナー | 地上デジタル、BS110度CSデジタル×各2 |
スピーカー | フルレンジ×2、ウーハー×1(実用最大出力30W) |
3D | 対応(3Dメガネ別売り) |
インターネットテレビ機能 | あり(無線LAN機能内蔵) |
年間消費電力量 | 175kWh |
サイズ、重さ | 高さ82.9×幅128×奥行き36.9cm(スタンド含む)、29.6kg(同) |
【ベンチマーク商品】
パナソニックの液晶テレビ「ビエラ TH-L55WT5」。6月下旬発売、実売32万円前後。動きの速い映像を色鮮やかに表現する4倍速のLEDバックライトとIPS方式の「IPS&LEDパネル」を搭載。画素数は1920×1080。チューナーはデジタル地上、BS、110度CSが各3個。スピーカーは8連ユニットが2個と直径7.5cmのウーハーが1個。外付けHDDによる録画が可能。3D対応。実用最大出力は総合で18W。
テレビ本体に無線LANを内蔵し、ケーブルを使うことなくインターネット接続や「お部屋ジャンプリンク」機能対応のビエラ、スマホなどと連携できる。年間消費電力量は115kWh。サイズは高さ80.4×幅123.6×奥行き33.5cm(スタンド含む)、重さは約19.5kg(同)。
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