「つながりを重視する」「絆を求めて」――。東日本大震災後、結婚が増えたり家族での食事を求めたりする動きが震災前より強く出ている、といったニュースが流れた。そうした状況を裏付けるように、ソーシャルメディアやネットリサーチでも消費者の意識変化を示す調査結果が相次いでいる。自粛ムードの中でCMやキャンペーンなどの活動の再開や商品発表を控えた企業からすれば、ソーシャルメディアに現れる「兆し」が参考になる。
■震災1カ月後から徐々に「癒し」を求める傾向が
「震災後、消費者が求めたのは結婚?!」とのタイトルが目を引くのは、インターネット関連調査会社のネットレイティングスが発行するメールマガジン「Nielsen/NetRatings Reporter」で、今田智仁アナリストが書いたコラムだ。ミニブログ「ツイッター」やブログの記事に登場する言葉の数を震災前後で調査したもので、(1)「買いたい」「欲しい」など購買意欲を表す言葉、(2)「学びたい」「上達したい」など挑戦意欲を表す言葉、(3)「食べたい」「遊びたい」など外食・レジャーに関連する言葉、(4)「結婚したい」「抱きしめたい」などの愛情に関する言葉、(5)「休みたい」「癒されたい」など休息意欲を表す言葉、の5つを分析している。
この結果(1)や(2)(3)は震災時に大きく減少したが、その後は2週間程度で震災前の90%程度まで回復している。逆に増えたのが(4)で、震災の翌々週には2月以降で最高の記事数を記録し、震災前の約10%増になった。(5)は震災後1カ月間では震災前平均より少ないが、4月中旬から平均値を超え上昇傾向にある。今田氏は、「計画停電など震災の影響で緊張した気持ちが1カ月後ぐらいから徐々にほぐれ、癒しを求め始めたのではないかと思われる」と述べている。
■「ポジティブ」キーワードの量が「ネガティブ」より増える
これと同じようなネット調査も出ている。NTTレゾナントの「gooリサーチ」では、「震災後の被災地支援および価値観の変化」に関する調査結果を公表している。調査では震災前後で変化した価値観について「重視するようになった」「どちらかというと重視するようになった」ことは何かを聞いている。すると両項目の合計で多かった回答が、「日常生活での無駄の排除(55.7%)」「家族、友人との連帯(47.5%)」「情報の入手先(44.5%)」「企業の社会貢献事業(41.1%)」となっている。ここでも「連帯」に関する意識が2番目に高かった。