EVタクシー時代にらみ運用実験 日本交通社長
編集委員 滝順一

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2010/6/9 9:00
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タクシー大手の日本交通(東京・北)は今年4月末、六本木ヒルズ(東京・港)を拠点に電気自動車(EV)タクシーの運用実験をスタートした。実験で使う車は国内自動車メーカーの充電式EVとは異なり、車載の蓄電池を1分間ほどで素早く交換し、時間のムダを最小限にして走れる。それでも航続距離の短さは悩みの種。「5年後にはタクシーの新車はすべてEVになってもおかしくない」と言う川鍋一朗・日本交通社長にEVタクシーの勝算を聞いた。

報道陣に公開された、初の電池交換式電気自動車のタクシー(ベタープレイス・ジャパン提供)

報道陣に公開された、初の電池交換式電気自動車のタクシー(ベタープレイス・ジャパン提供)

――実験は外資系のEVビジネス・ベンチャー企業、ベタープレイス・ジャパン(本社東京・千代田、藤井清孝社長)と組んでいて、経済産業省の支援を受けています。始まって1カ月ほどがたちましたが、反響はいかがですか。

「順調で、ニュースにならないほどだ。乗っていただいたお客様にはタッチパネルで感想をうかがっている。『また乗りたい』など好意的な意見が全般的に多い。一方、『普通のタクシーで、特にエキサイティングなことはない』との感想もけっこうある。この点は大事だ。ノー・サプライズで、いつも通りに自然に乗れるからこそ、電気自動車はこれから普及すると思う」

――六本木ヒルズを拠点に、まだ3台に過ぎませんが、この実験に踏み切った理由はどこにありますか。

「タクシー事業者として、これは早く取り組んでおくべきことだと考えた。タクシーの乗務員は国内に約40万人いる。その家族を含めれば国民の100人に1人はタクシー業界にかかわっている計算だ。EVはタクシー業界のコスト構造を変える潜在力がある。低炭素化に向けて社会のあり方が変わろうとしている時に、業界が世界の潮流に乗り遅れて、社員の雇用や生活に影響を及ぼしてはいけない。タクシー業界の代表のつもりで、EVの実験に取り組んでいる」

「タクシーとEVは親和性が高い。タクシーの走行距離は、景気にも左右されるが、1日300キロメートルほどとされる。1年で10万キロと考えてよい。普通の乗用車に比べると、1台当たりの二酸化炭素(CO2)の排出量は格段に多い。温暖化対策の効果が大きい分野だ。タクシーが先頭を切ることで、社会全体のEVの普及スピードを速めることができる」

「タクシーは、社会のインフラとして皆さんの目に触れる場所にいつもいる。自動車販売会社のショールームに行けば、EVを見ることはできるが、タクシーがEVになれば、多くの人が乗車して乗り心地を実感できる。ベタープレイスのシャイ・アガシ最高経営責任者(CEO)は、これを教育的な価値と呼んでいる」

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