医療機器、「現場生かす規制改革を」「中堅参入促し層厚く」
日本を元気にする産業技術会議

2012/12/5 7:00
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産業技術総合研究所が主催する「日本を元気にする産業技術会議」(後援・日本経済新聞社)はこのほど、茨城県つくば市で「医療機器分野におけるオープンイノベーションに向けて」をテーマに講演会を開いた。医療機器産業は世界で急成長し競争が激しくなっているが、日本企業の存在感は薄い。5人の専門家の講演から日本の製造業が持つものづくりの力を医療機器分野でどう生かすべきか、課題が浮かび上がった。

日本の製造業のものづくり力を生かす方策などを議論した

日本の製造業のものづくり力を生かす方策などを議論した

内閣官房医療イノベーション推進室長を務める松本洋一郎・東京大学教授は「科学技術のイノベーションに加えて、規制や制度改革によるサービスイノベーションを起こす必要がある」と指摘した。医療機器については「医療現場で使いながら改良していくという特性を踏まえた規制改革を進めることが重要だ」と話した。

国内約4900社が加わる日本医療機器産業連合会の荻野和郎会長も、医薬品と医療機器の違いを踏まえた薬事法改正の重要性を強調した。また、医療訴訟への懸念から医療機器用の部材提供を渋る素材メーカーがあるとし「米国のように部材供給会社への免責を検討してもらいたい」と訴えた。

経済産業省医療・福祉機器産業室の覚道崇文室長は「医療機器の世界市場は25兆~26兆円ありアジアを中心に伸びている」と述べた。そのうえで、成長市場をとらえるため「ものづくり中堅企業の参入を促し医工連携によって層の厚い産業を育てる必要がある」と課題を指摘した。

革新的な機器の実用化を促すため、審査当局である厚生労働省と連携し企業向けの開発ガイドラインを設けたという。訴訟を心配する企業には製造物責任法(PL法)の解説書を作成して誤解の払拭を狙うほか、PL保険制度の新設など具体的な施策を打っていると報告した。

医薬品医療機器総合機構(PMDA)の倉持憲路レギュラトリーサイエンス推進部長は、欧米に比べ医療機器の承認が遅れるデバイスラグの解消を目指し「革新的な医療機器の迅速な市場投入を目指している」と説明。今年5月に科学委員会を設置し、日本発のシーズの実用化を目指し科学的視点から的確な審査の判断を下していける体制を整えたと紹介した。また、審査に不慣れな企業を対象に薬事申請に先立つ事前相談を充実させていると語った。

締めくくりに産総研の湯元昇理事(ライフサイエンス分野研究統括)は、開発段階からの評価技術の確立や許認可プロセスの簡易化・透明化などの課題をまとめたうえで、医療の最先端では「治療と診断」「薬と医療機器」の一体化が進んでおり規制の新しい枠組みが必要だと強調した。さらに、適正な規制を考えるレギュラトリーサイエンスの推進が求められると話した。

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