2018年12月13日(木)

オンライン化で新規参入続出 塗り替わる米ビデオ業界地図
ITジャーナリスト 小池良次

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2012/3/9 7:03
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ネットフリックスは、最低料金が月額9ドル99セントで、郵送型のDVDレンタルとオンライン・ビデオが見放題となるサービスにより急成長。会員数は11年第1四半期に2360万に達し、CATV最大手コムキャストの加入者数を追い越した。しかし11年7月に発表したDVDレンタルとオンライン配信を切り離し、それぞれ7ドル99セントを課金するプラン変更が水を差した。実質6割増の値上げはユーザーの失望を買い、11年第3四半期には約80万会員の減少に直面した。

11年9月にはDVD郵送レンタルを「クイックスター(Qwikster)」と改名し、ネットフリックスの名称はオンライン配信のみに利用するというブランド戦略の変更も発表した。ユーザーが圧倒的に多いオンライン系と郵便レンタル系をウェブ上でも明確に分けることを狙ったようだ。しかし、長年親しんだネットフリックスの名称をやめ、一般的でないつづり(「Quick」ではなく「Qwik」)のサイト名に変更することへの批判は大きく、10月には同プランを撤回している。

多くのメディアから経営の失敗と批判されたプラン変更やブランド戦略を、ネットフリックスはなぜ選んだのか。そこには「将来に不透明感が漂う郵便DVDレンタル」から徐々に撤退し、「オンライン配信へ移行する」という長期戦略があった。この姿勢は、多くの批判を受けたあとも変わっていない。

■ 問われるコンテンツの競争力

DVDレンタルでレッドボックスに首位の座を奪われても、ネットフリックスには動じる様子がない。独自コンテンツを投入して、オンライン・ビジネスへの投資を高めている。

12年には「Lilyhammer」「House of Cards」「Arrested Development」などの5本のオリジナル番組を提供する。そのほか「Orange Is the New Black」をリメークしたオンライン向けコメディー番組13作を制作しているとのうわさもある。2月には4大TVネットワークのCBSとオリジナル番組制作で交渉していることが明らかとなった。

ネットフリックスが高い制作費を払っても独自番組を制作するのは、コンテンツ面での競争力が必要だからだ。有料ビデオ配信市場全体では31%をオンデマンド(数値はNPDグループ調べ)が占めるが、ネットフリックスは11年第4四半期にはその55%を押さえトップを維持している。

ただしその割合は11年第1、第2四半期の59%よりも低下し、オンラインビデオ配信を巡る競争は激しさを増している。これは、Hulu.comやAmazon Video、Apple iTunesなどの既存競争者に加え、多くの企業が成長を続ける同市場への参入を進めているからだ。

これまでCATVなどにコンテンツを提供してきた番組制作会社自身も、オンライン配信を拡大している。タイムワーナーが所有する大手映画専門チャンネルHBOは、ブロードバンド向けチャンネル「HBO GO」を制作し、OTT-V(オーバーザトップビデオ:ブロードバンド回線を使う放送サービス)を手掛けるロク(Roku)などに提供している。スポーツ専門チャンネルのESPNもオンライン・チャンネルの配信強化を進めている。

一方、CATV大手は、「TV Everywhere」と「iPad配信」の両面戦略を展開している。VODをホームページで提供するTV Everywhereは、CATVアカウントと連動して好きな映画やテレビ番組をウェブで楽しめるサービスだ。ただし契約上、CATVに流れている番組をウェブに同時に再送信できない。

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