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鉄筋コンクリートの建物は津波に強かった

津波による壊滅的な被害を受けた低地の市街地で、鉄筋コンクリート(RC)造の建物だけが残っている──。岩手県宮古市から宮城県亘理町までの沿岸約300kmを6日間かけて南下し、各所で同じ光景を目にした。

RC造の建物は津波に強いと、想定はされていた。そのため、「津波避難ビル」(津波が生じた際に避難する建物。2005年6月に内閣府がガイドラインをまとめた)は、1981年以降の新耐震基準に適合したRC造か鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造であることを条件にしている。実際の災害で証明されたのは東日本大震災が初めてだ。

日本建築学会が4月6日に開いた緊急調査報告会で、防衛大学校の多田毅准教授は、RC造が津波に耐えた理由を次のように説明した。「津波の外力は建物の形状だけで決まるので、木造もRC造も同じ外力を受ける。RC造は自重が大きい分、地震に対して大きな外力を想定しているので耐力が強い」。

つまり、地震動に対しては木造もRC造も自重に相応する外力しか受けないが、津波に対しては形状が同じならば自重に関係なく同じ外力を受ける。木造住宅は、屋根まで漬かるほどの津波の力に全く耐えることができなかった。

次ページには津波被災地で残ったRC造の建物(一部は鉄骨造の建物)を掲載した。

岩手県釜石市から陸前高田市の三陸海岸

宮城県石巻市から名取市の仙台湾沿岸

RC造でも津波で倒壊したものも

津波に強いことが証明されたRC造の建物だが、「例外」もあった。多田准教授によれば、宮城県女川町で3棟のRC造の建物が津波で倒壊した。

多田准教授は、津波が来る前の地震で基礎が破壊されたり、地盤が液状化したりした恐れがあると推察する。津波で地盤が洗掘された恐れもある。また、倒壊していたRC造の建物は、開口部が小さかったことも原因の一つに挙げる。開口部が小さいほど作用する外力が大きいからだ。

倒壊原因の詳細な調査が待たれるが、現行の新耐震基準に準拠したRC造建物は津波に相当強いと言える。もっとも、津波に耐えても建物内に相当量の土や流木などが堆積しているので、使用を再開するには労力を要する。

壊滅的な被害を受けた低地の市街地の復興を議論する際、RC建物の強さを評価に入れたい。高台に集団移転するという単一の発想ではなく、低地でもRC造の公共施設や商業施設の上層階に付置義務として住宅を設けるといった選択肢もあるだろう

(日経コンストラクション 渋谷和久)

[ケンプラッツ 2011年4月7日掲載]

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