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「I miss you Steve...」 悲しみ広がるシリコンバレー

ジョブズ氏自宅前で献花

ジョブズ氏の自宅前で路上に追悼メッセージを書く少女(5日夕、米カリフォルニア州パロアルト市)

【シリコンバレー=奥平和行】「覚悟はしていたが、こんなに早いとは」――。米アップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズ会長の死去が伝えられた5日夕、ジョブズ氏の「ホームタウン」である米シリコンバレーも悲しみに包まれた。同氏ゆかりの地では献花やろうそくの点灯、路上へのメッセージ書き込みなど思い思いの形で、不世出の経営者の死を悼んだ。

ニュースが伝わった直後の午後5時過ぎ、パロアルト市の自宅前には交通整理の警官や報道陣がぽつりぽつりと集まり始めた。高級住宅地の一角にあるものの、時価総額世界一の企業を一代で築いた天才経営者の自宅は思いのほか質素な木造2階建て。「万が一に備えて待機している」というアップルの広報担当者の女性は「とても、とても悲しいわ」というだけで言葉少なだった。

ジョブズ氏の自宅を訪れた近所の住民(5日夕、米カリフォルニア州パロアルト市)

5時半を回ると、関係者とおぼしき女性が邸内に招き入れられる。迎えに出てきた女性と抱き合うところをカメラマンがフラッシュをたいて撮影すると、中から出てきた男性がきっとにらみ付ける。その後、カメラマンが正面から撮影することはなく、邸内もカーテンが引かれてひっそりと静まりかえったままだった。

一方、前庭には近所の住民が持ってきた花束や花瓶が徐々に増え、即席の献花台といった雰囲気に。さらに子どもたちを中心に路上への追悼メッセージの書き込みが始まる。母親と一緒にやってきた近所に住む12歳のアポリン・アーノードさんは地面に腰を下ろし、「I miss you(会えなくなると寂しいわ)」と太字のペンで書き込んだ。

ジョブズ氏自宅前の路上は封鎖された(5日夕、米カリフォルニア州パロアルト市)

 10歳のジェーン・フリーマンさんも「iPhone(アイフォーン)開発してくれてありがとう」としっかりとした筆致で書いていく。この頃になると警官が周辺の道路を封鎖し、報道陣の数も増加。中国など海外メディアの姿も目に付く。日が傾き始めた6時半過ぎには周辺の人は40人近くまで膨らみ、その後はなかなか減らない。

まだよちよち歩きの娘と一緒に献花にやってきたジョン・ディオリオさんは「1984年に初めて買ったパソコンは『マッキントッシュ128』だった。スティーブは自分の人生を変えるきっかけをつくってくれた」と思い出を話し、パソコン時代を切り開いたジョブズ氏の功績をたたえた。

アップルストアの前でiPhoneのカメラで撮影する男性(5日夜、米カリフォルニア州パロアルト市)

 1986年から98年までアップルで働いていたブルース・ギー氏は花瓶に入った花と「インスピレーション」と書かれた石片を供えた。「スティーブは新しくおもしろい物を生み出すことによって人びとにインスピレーションを与えてくれた」。さらに「ハロウィーンの時には自らキャンディーを振る舞ってくれた」と気さくな一面も披露してくれた。

一方、ジョブズ氏の自宅から自動車で10分ほどの距離にあるアップルストア。新製品を発売するたびにジョブズ氏が自ら訪れて売れ行きを確認することで知られるこの店にも、ニュースが伝わった直後から人びとが集まり、入り口のガラス扉の前には点灯したろうそくや花束、カードなどが増えていった。

半旗が掲げられたアップル本社(5日夕、米カリフォルニア州クパチーノ市)

自宅前、アップルストア、そして半旗が掲げられたクパチーノ市のアップル本社。各所ではiPhoneの内蔵カメラで撮影する人びとの姿が目立った。時折、すぐにそれと分かるiPhoneの着信音も聞こえる。不謹慎かもしれないが、心血を注いだIT(情報技術)機器で世の中をあっといわせてきたジョブズ氏の送り方としてはふさわしいようにも思えた。

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