2019年1月18日(金)

EV普及のカギ「無線給電」 循環バス実証で見えたもの

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2013/3/13 7:00
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長野市では、同市が民間に運営委託している「ぐるりん号」と呼ぶ循環バスが、長野駅や善光寺、県庁などの中心市街地を巡回している。そのうちの1つの車輌が、早稲田大学などが開発した、プラグ式とワイヤレス式の両方で充電できる電動バスだ。1周8kmの比較的短いコースを40分程度で毎日4回運行している。

電気自動車(EV)の普及は蓄電池の進歩が鍵を握る。蓄電池の低コスト化や、航続距離を延ばすための出力密度の向上が課題だが、EV普及のもう1つの鍵を握っているのが充電技術だ。その有力技術として、「ワイヤレス(無線)給電」に注目が集まっている。

ワイヤレス給電は非接触給電とも呼ばれ、金属接点やコネクター、コードなどを介さずに電力を伝送する技術を指す。コードレス電話や電動歯ブラシなどで既に活用されているが、EVにも応用する動きが盛んになってきた。

■蓄電池を減らして車両コスト削減

早稲田大学のグループは長野駅周辺の循環バス路線で、「短距離走行高頻度充電型」と呼ばれる電動バスの実用評価を進めている(図1)。

図1 電動バスのワイヤレス給電スポット(左)。路面の灰色部分に送電装置が埋め込まれている。バスの床下に取り付けた受電装置(右)を上下に重ねるように駐車して、充電する

図1 電動バスのワイヤレス給電スポット(左)。路面の灰色部分に送電装置が埋め込まれている。バスの床下に取り付けた受電装置(右)を上下に重ねるように駐車して、充電する

大型で車重が重いバスの場合、電動化しようすると大容量の蓄電池が必要になり、乗用車以上にコスト上昇や乗車スペースの犠牲を招きやすい。

しかし、短距離走行に限るなら充電回数を増やすことで蓄電池の搭載量を減らせる。その際、頻繁に生じる充電作業をワイヤレス給電によって軽減するというのが「短距離走行高頻度充電」のコンセプトである。

実証試験のグループリーダーである早稲田大学理工学術院環境・エネルギー研究科の紙屋雄史教授は「環境負荷の低減のほか、運転士の作業負荷や運行計画の立て方、乗り心地など、実際のバス路線での毎日の走行を通して電動化がもたらす影響を多角的に評価するのが目的」と話す。

中心部の主要施設や観光拠点などを循環するバス路線は、市民や観光客の手軽な移動手段として地方都市では多く見られ、自治体が運営に関わるケースも多い。排ガスやCO2(二酸化炭素)を出さない電動バスは市街地の公共交通手段に適していると見た長野市が、将来の導入をにらんで実証試験を受け入れた。

■プラグ式より「ずっと楽」

実証車輌は蓄電容量で35kWh分のリチウム(Li)イオン蓄電池を搭載する。1回8kmの走行で消費する電力は蓄電容量の4割弱で済む。蓄電池の搭載容量は乗用車型EVの1.5~2倍だが、乗車スペースはEVに改造する前の仕様と同じ31人乗りを維持した。

図2 運転席の上部に取り付けてあるワイヤレス給電の操作パネル。車内のパネル操作だけで充電が完了する

図2 運転席の上部に取り付けてあるワイヤレス給電の操作パネル。車内のパネル操作だけで充電が完了する

長野駅前を出発して再び戻ってきた電動バスは、付近に設置したワイヤレス充電器に向かう。路面に90cm四方程度の送電装置が埋め込まれており、バスの床下に取り付けた受電装置が、その上に重なるように停車させる。運転席からパネル操作で充電を開始し(図2)、15分ほどで満充電になる。その間、運転士はバスの外に出る必要はない。

ぐるりん号を担当している運転士は6人全員が女性で、充電も自分たちで行う。ワイヤレス充電設備のない夜間駐車場では、通常のプラグ式の充電も経験している。充電作業について尋ねた女性運転士は「太くて重いケーブルでつながった端末を差したり、抜いたりするのに比べてワイヤレスはずっと楽。車内で操作できるので雨や雪の日も負担は小さい」とワイヤレスの利便性を素直に評価していた。

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