電池が2倍持つ電子書籍端末 依然課題はコンテンツ - 日本経済新聞
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電池が2倍持つ電子書籍端末 依然課題はコンテンツ

ソニー「リーダー PRS-T2」

ソニーは電子書籍端末「リーダー PRS-T2」を9月21日に発売した。従来機種の「同 PRS-T1」に比べて電池の持ちなどを改善しながら、価格も従来機が当初2万円だったのを半分の9980円に下げた。フル充電後の連続使用時間は従来の最長5週間から2カ月と2倍近くに伸ばした。

画面はタッチ機能付きの6型電子ペーパーで、16段階で文字の濃淡を変えることができる。電子ペーパーの特性として画面の切り替え時に発生する白黒反転を最大15ページに1回に低減し、読みやすくした。無線LAN経由で米グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」を採用したスマートフォンやタブレット端末と接続でき、続きを他の端末で読める機能も備えた。

本体の厚みは最薄部が9.1mmで、重さは164g。内蔵メモリーは約2GBで、書籍で最大1300冊、コミックで約33冊のデータを保存できる。マイクロSDメモリーカードのスロットも付く。電子文書管理サービスの「エバーノート」や、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「フェイスブック」との連携機能も備える。

本体カラーは黒、赤、白の3色を用意した。販売目標は未公表。

【日経産業地域研究所研究員の視点】

ソニーは2004年から電子ペーパーを活用した電子書籍端末を出している。電子ペーパーはバックライトがなく太陽の下でも文字が読みやすく、液晶などに比べて消費電力が少なくて済む。目の疲れも少ないという利点もある。ただ、画面を「めくる」書き換えの際に、画面が一瞬黒くなる「白黒反転」が起こるのが気になるといった利用者の声も多い。

今回の新型機は、一充電当たりの電池の持続時間を最大2カ月と大幅に伸ばしたうえに、白黒反転も標準で15ページに1回ごとに減らすなど、性能は着実に進化している。評価コメントでも、電子ペーパーを使った「コボタッチ」に比べて、本体が薄型・軽量でおしゃれ感があり、電池の持続時間も含めた使い勝手が良いなど、価格が約2000円高くてもよりコストパフォーマンスに優れるといった指摘もあった。「エバーノート」との連携も便利との評価だ。

ただ、リーダーストアも含めた書籍のコンテンツの充実が、引き続き課題との声も多い。リーダーストアは2012年9月3日時点で約6万3600冊の日本語の書籍・コミックを取り扱うまでになってはきており、コボも日本語コンテンツは10月12日時点で約6万3000冊と追い上げている。ただ、国内で年間で約8万冊の新刊本が発売されているなかで、読みたい本が電子書籍には少ないといった状況はまだ続いており、コンテンツの充実が端末のヒットの前提として不可欠ではある。

スマートフォンの画面の大型化が進み、電子書籍端末との競合も考えられる。本命とされる米アマゾン・ドット・コムの「キンドル・ペーパーホワイト」が11月19日から販売されており、役者はほぼ出そろった。電子書籍端末への期待が高まる可能性があり、当面は市場から目が離せない。

価格9980円
販売目標非公表
発売9月21日
ディスプレー6型タッチパネル(解像度800×600)
内蔵メモリー2GB(使用可能領域は1.3GB)
対応フォーマット配信コンテンツ、XMDF、ドットブック、EPUB、PDF、テキスト
インターフェースマイクロSDメモリーカードスロット、マイクロ>USB端子
無線LANIEEE802.11b/g/n
連続駆動時間ワイヤレスオフ時最長2カ月(1日30分読書時)、同オン時最長1.5カ月
大きさ、重さ幅約110×高さ173~173.3×奥行き9.1~10mm、約164g

【ベンチマーク商品】

楽天の電子書籍端末「コボタッチ」。子会社コボ(カナダ・トロント市)が販売している。米イーインク(米マサチューセッツ州)の電子ペーパー「パールディスプレー」の6型タッチ機能付き画面を採用しており、太陽の下でも読みやすく、目が疲れにくい。

重さは185gで、片手で持って読むことができる。無線LAN対応で、電子書籍販売サイトに接続できる。自分が読んだ本の履歴、読書量、読書をする時間帯など、読書ライフがひと目で分かる機能「リーディングライフ」を持つ。コンテンツフォーマットは世界標準規格の「EPUB3.0」を採用。PDFなどにも対応する。

楽天のショッピングモール「楽天市場」「楽天ブックス」のほか、家電量販店などで販売している。内蔵メモリーは2GB(使用可能領域1GB)、メモリー拡張はマイクロSD/マイクロSDHC、無線LANはIEEE802.11b/g/n、連続駆動時間は1カ月。サイズは114×165×10mm、重さは185g。色は青、ライラック、銀、黒。7月19日発売、ネット直販価格は6980円。

「新製品ウオッチャー」では、日経産業地域研究所が選んだ注目の新製品を、同業他社や販売店の担当者、評論家など3~5人の専門家が評価。新規性など12項目で競合製品(ベンチマーク商品)と比べた優劣を「非常に優れる」(6点)から「同等」(3点)、「非常に劣る」(0点)までの7段階で各専門家が採点し、その平均を算出しています。

■より詳しく知りたい方は「日経消費ウオッチャー」オンライン・データベース(有料)で

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