2019年9月20日(金)

「世界トップのスマートメーター企業に」、東芝がL+G社を買収した狙い

2011/7/6 23:00
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東芝は、スイスのメーター関連企業であるLandis + Gyr社(L+G社)を買収する。買収額は23億米ドル。L+G社は世界の約30の国と地域で、電力/ガス/水道のメーターを提供するほか、各種の計測データ管理などを含むスマートメーターでも高いシェアを持つ。東芝はL+G社の販路および顧客を獲得することで、当該事業分野の売上高を現状の約3000億円から、約7000億円(2015年度)に拡大することを目指す。東芝 スマートコミュニティ事業統括部 技監の渡部洋司氏に、L+G社買収の狙いを聞いた。

――東芝がスマートメーターに注力する理由とは?

我々は今後、スマートグリッドやスマート・コミュニティと呼ばれる事業分野に、積極展開していく方針である。スマートメーターは、そのための第1段階だ。まずスマートメーターから事業を展開していきながら、様々な各種サービスやソリューションを加えて進化させていく。その際に、メーター・ビジネスは非常に重要で、また大きなポテンシャルを持っていると考えている。

スマートメーターのビジネスは、今すでに世界で始まっている。この事業領域にスピーディーに乗り込んでいくためには、大手企業を買収するという策が最も有効である。当社が持っている上流側の技術と、L+G社が持っている末端側の技術を組み合わせることを検討している。

――スマートメーターに取り組む企業は数多い。その中でも、L+G社に狙いを定めた理由は何か?

なんと言っても、メーター市場で世界No.1であることだ。L+G社は、世界の電力事業者など、30カ国で8000以上の大手顧客を抱えている。電力だけでなく、ガスや水道を含め、売り上げNo.1である。スマートメーターに関しても、世界で30%以上と、圧倒的トップシェアである。トップシェアであるということは、顧客に対する強い販売ルートを持っているということだ。こうした点は、我々にとって魅力的だった。

実際に今、一緒に仕事を進めているが、しっかりした会社であるという印象を深めている。信頼できる製品を世に出せる企業であり、「期待したとおり」という感じだ。また、技術面でも優れたものがある。メーターというのは標準品なので、なかなか差異化が難しいが、スマートメーターになると通信技術が必要で、その部分が差異化要因になる。その点L+G社は、PLC(電力線通信)や無線通信などの優れた技術資産がある。

――東芝の既存のソリューションとシナジー効果を見込めるのはどのような点か?

L+G社のサービスは、非常に信頼性の高いものである。しかしその半面、スマートメーターを活用したサービス自体は、まだプリミティブな印象だ。市場がまだ成熟していないためだろう。例えばL+G社は、米国で数十社の電力会社向けに「マネージドサービス」を提供している。電力会社の業務を一部請け負うような、メーター関連業務である。こうしたサービスを、もっと先進的なエネルギー・マネジメント技術と組み合わせれば、さらに市場を広げられるだろう。電力会社向けだけでなく、一般家庭やビルを視野に入れた、幅広いサービスに昇華できる。例えば蓄電池や電気自動車(EV)との連携制御などである。このようなICTを組み合わせた高度なソリューションを実現する上で、我々東芝の技術が生きてくる。

我々のグループ企業には、メーターを手掛ける東光東芝メーターシステムズがある。今後、海外系顧客を中心とするL+G社との間で、両者のシナジー効果も得られると考えている。

現在、日本では「電気が足りない」という、ここ数十年経験したことの無い切迫した状況になっている。こうなると、これまでなかなか導入が進まなかった技術が、脚光を浴びる可能性もある。例えば、スマートメーターを使った需要応答「DR(demand response)」が、電力利用ピークを抑える目的で、まさに効果を発揮する局面にある。東芝にはこうしたエネルギー・マネジメントに関わる技術ノウハウがある。これを、L+G社の技術と組み合わせていきたい。

――スマートメーターの導入が進んだ後、家電機器にはどのような機能が求められるのか?

今後、家電機器のインタフェースのオープン化が求められる。家電機器のエネルギー・マネジメントを進める際には、家電機器同士がつながる必要があり、そこにはオープンな標準規格が必要なためだ。とは言え、すぐに全ての機器をつなげるというのは容易でない。準備期間が必要だ。例えばエアコンのように、消費電力の大きいものはできるだけ早くオープン化することが求められる。そしてある程度時間をかけながら、より多くの機器がつながるようになるだろう。

既に米NISTやIECなどが標準化を進めており、我々も積極的に関わっている。日本国内でもスマートコミュニティ・アライアンスという業界団体が活動している。日本発の技術である「エコーネット」なども含め、地域に応じて、最適な技術や方式を用いてオープン化を進めて行くことになりそうだ。

(日経エレクトロニクス 蓬田宏樹)

[Tech-On! 2011年7月5日掲載]

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