auが1位、全国「道の駅」のLTE接続率調査
全国の「道の駅」でのiPhoneによるLTE接続率は、KDDI(au)が1位――。日経BPイノベーションICT研究所が1004カ所の道の駅で調査したところ、auが921カ所(91.7%)でつながり、首位となった。2位はNTTドコモの745カ所(74.2%)。ソフトバンクモバイルは527カ所(52.5%)にとどまった。調査期間は2014年2月7~27日。3月6日に公表した。
国道沿いなどに設けられている道の駅は、ドライバーに対して休憩所(無料駐車場、トイレ)や道路・地域の情報を提供している。近年は地元の農水産物を直売する施設が増え、観光客の人気も高まっている。しかし、その立地は不便な場所が多く、通信環境も決してよいとは言えなかった。そこで、観光振興や地域の活性化の切り札として注目を集める道の駅の通信環境の実態を把握するため、今回の調査を企画した。
調査では、現在開業している全国1004カ所のすべての道の駅に調査員が出向き、NTTドコモ、au、ソフトバンクモバイルの携帯電話主要3事業者が提供するLTEの接続率とデータ通信速度を測定した。端末は、昨年(2013年)秋のNTTドコモ参入で出そろったiPhoneの上位機種「iPhone 5s(16GB)」を使用した。
エリア別の道の駅での接続率を見ると、auは「首都圏」「北陸」で100%だった(表1)。ほかの地域でも「中国」を除いてauが上回った。LTEと3Gを合わせた接続率では、NTTドコモが99.9%、auが99.6%、ソフトバンクモバイルが97.7%という順だった。auは遠くまで電波が届く性質を持つ800MHz帯のLTE基地局の設置が多く、道の駅は山間部などに建設されているところが多いため、好結果につながったと見られる。

接続率ワーストは和歌山
都道府県別に道の駅でのLTE接続率を見ると、東京都(道の駅の数は1)、福井県(同11)、山口県(同20)、沖縄県(同7)で、3社のLTEがすべてつながった。逆に最もつながりにくかったのは、和歌山県(同25)で、auが64%、ソフトバンクモバイルが32%、NTTドコモが20%だった(表2)。

LTE速度もauがリード
道の駅で、スマートフォンで近くの観光スポットを調べたり、走行プランを立てたりするときに気になるのがデータ通信速度だ。今回、LTEデータ通信のダウンロード速度が最も速かったのは、auで26.41Mbpsだった(図1)。NTTドコモは19.88Mbps、ソフトバンクモバイルは14.01Mbpsだった。
一方、アップロード速度はauが7.20Mbps、ソフトバンクモバイルが5.18Mbps、NTTドコモが4.13Mbpsの順だった。

このように道の駅に限定した今回の調査では、LTEの接続率とデータ通信速度ともに、auが強さを発揮する結果となった。
2014年2月7日~27日に全国47都道府県の「道の駅」1004カ所におけるスマートフォン(iPhone)でのLTE接続率、およびデータ通信速度に関する調査を実施。開業前または閉鎖中を除き、現在開業しているすべての道の駅で測定。測定場所はそれぞれの道の駅の中心となる商業施設の入口前、もしくはその周辺。調査に使用した端末は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイルの「iPhone 5s(16G)」。RBB TODAY SPEED TESTアプリを使ってデータ通信速度を計測した。同一地点で3回計測して平均値を記録。詳細は、http://corporate.nikkeibp.co.jp/information/newsrelease/newsrelease20140306.shtml
(日経BPイノベーションICT研究所 井出一仁)
[ITpro 2014年3月6日付の記事を基に再構成]