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クイックVote解説 日本も「盗聴すべきだ」8割

第153回 編集委員 大石格

国際政治はパワーゲームであり、正義が勝つとは限りません。スパイ行為は重要なツールです。さりとて他国との相互信頼なしに生き抜いていくのも容易ではありません。そのバランスをどう取るか。電子版読者の約8割は日本も外国首脳を盗聴すべきだとの考えでした。

国会では目下、国家安全保障会議(日本版NSC)設置法案と特定秘密保全法案が審議されています。米国の本家NSCはさまざまな機密情報を収集・分析し、それに基づく国家戦略を立案する場です。日本版も同じことをするのでしょうか。目指してはいますが、すぐには無理なようです。

「情報収集はギブアンドテイクの世界。秘密保全法ができたら、米国から何でも秘密が来るわけではない」。自民党インテリジェンス・秘密保全等検討プロジェクトチームの座長を務める町村信孝元官房長官に聞いたら、こんな答えでした。

制度の枠組みを整えるだけではダメで、日本独自の情報収集活動を強化しないと、米国を中心とするインテリジェンスの輪には入れないようです。町村氏は英国のMI6、イスラエルのモサド、韓国のKCIAなどの組織を例示して日本にも情報機関が必要だと訴えました。

さて、今回の設問で知りたかったのは、同盟国にまでそうした活動の手を伸ばすことの是非でした。米国がドイツのメルケル首相の携帯電話を盗聴していたことに「驚いた」と答えた読者と、日本は盗聴を「すべきでない」を選んだ読者の比率はほぼ同じでした。つまり2割程度の読者は盗聴そのものを好ましくないと考えていることになります。

「驚いた」読者のコメントからみてみましょう。

○映画の世界の話と思っていた(47歳、男性)

○国益のためには何をしてもよいのか(65歳、男性)

○敵対している国ならばまだしも…(51歳、男性)

「想定の範囲内」と答えた読者の見方はその反対でした。

○米国が自分勝手なのはいつものこと(33歳、女性)

○メルケル首相も知っていたが、公になったので驚いたふりをしているのだろう(64歳、男性)

 日本政府は5日、安倍晋三首相の携帯は盗聴されていなかったと発表しました。しかし、読者の9割超は米国は安倍首相のことも盗聴していたとみていました。

回答者の内訳
回答総数1211
男性93%
女性7%
20代5%
30代9%
40代19%
50代24%
60代28%
70代13%
80代以上1%

本当に日本は無事だったのか、ドイツのように騒ぎ立てない日本らしい奥ゆかしさなのか。日本は無事との発表後のアンケートであっても読者の受け止めはさほど違わなかったのではないでしょうか。

盗聴されていたとみる読者のコメントです。

○盗聴対象に例外はないだろう(52歳、男性)

○盗聴されていないとしたら世界から相手にされていないということ(74歳、男性)

「盗聴されていると思って会話すればよい」という皮肉っぽい回答もありました。ちなみに北朝鮮を訪ねたことがある国会議員に聞いた話ですが、夜中に腹が減ったのでホテルの壁に向かって「おにぎり食いたい」と叫んだら、しばらくしてボーイが突然、おにぎりを持って来たそうです。偽情報を流して敵を幻惑した毛利元就のような外交術は面白いかもしれません。

安倍首相は盗聴されていないと答えた読者は、米国を信頼しているのではなく、「日本は盗聴以外で簡単に情報が取れそう」などという見方でした。

本題の、日本も、盗聴すべきかどうかです。最も多かった回答は「同盟国を含めてすべきだ」でした。

○同盟国同士でも外交を有利に進める駆け引きはある(52歳、男性)

○みんながやっているのに日本だけやらない手はない(63歳、男性)

次に多かったのが「敵対国に絞ってすべきだ」でした。

○敵を知らなければ対策をとれない(71歳、男性)

○平和ボケから脱却すべきだ(58歳、男性)

いずれにせよ、謀略渦巻く世界で日本だけが取り残されているのではないか、との読者の危機感はなかなかに大きいようでした。

安倍内閣の支持率は73.8%でした。前週より5.4ポイントの上昇でした。設問のテーマが首相支持の読者好みだったのか、政権が上向きなのか。次週に注目です。

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