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Gメール乗っ取り 抜本策なきグーグルの苦悩

グーグルは5日、グーグルアカウントや自社ブラウザー「Google Chrome(グーグルクローム)」のセキュリティーに関する記者説明会を都内で開催した。同社の担当者は、ブラウザーのセキュリティーを高める方策として2段階認証などのポイントを挙げ、ユーザーに対策を促す考えを示した。こうした説明会は同社として初めて。昨年末、グーグルのウェブメールサービス「Gmail(Gメール)」でアカウント乗っ取り事件が多発。開催の背景には、Gメールに対するユーザーの信頼が揺らぐことへの危機感があるとみられる。

昨年12月、複数のユーザーのGメールに何者かが不正にログインし、そのユーザーになりすましてアドレス帳に登録されている他人のメールアドレスに迷惑メールを送信するという事件が相次いだ。メールに件名はなく、特定のURLだけが記載されていた。

グーグルは具体的な被害件数などについて「把握していない」(広報)としているが、Gメールのパスワードがなんらかの手法で破られたことが原因だ。

説明会で同社セキュリティーポリシー担当マネージャーのエリック・デイビス氏は、インターネット利用の安全性を高める方法として「数字、文字、記号で構成された長いパスワードの作成・利用」「パスワードのメール送信や共有を控える」「2段階認証の利用」――などを改めて紹介。「インターネットは巨大な街と同じ。歩くときには(ユーザーにも)対策が必要だ」と注意を促した。

インターネットを安全に利用するための主なポイント
(1)数字、文字、記号で構成されたパスワードを設定・利用する
(2)パスワードのメール送信や共有を控える
(3)パスワードを定期的に再設定する
(4)2段階認証を利用する
(5)ブラウザーやOSを最新のバージョンに更新する

グーグル資料を参考に作成

2段階認証とは、ログイン時に通常のパスワードに加え、1回限り有効なパスワード「ワンタイムパスワード(確認コード)」を要求する認証方式(認証技術)のことだ。確認コードは自身の別のメールアドレスや携帯電話などに送信されるため、セキュリティーを高められるという。

自分だけが常時利用するパソコンなどは、確認コードの入力を省略する設定もできる。初回ログイン時に「このパソコンを信頼できるパソコンとして登録する」の項目にチェックを入れておけば、以降そのパソコンからは通常のユーザー名とパスワードだけでログイン可能だ。(設定方法などはこの記事を参照)。

説明会ではほかに、グーグルが作成したネット利用のセキュリティーを高める方法のまとめページ「オンラインで安全性とセキュリティを確保するために(http://www.google.com/goodtoknow/)」なども紹介された。

もっとも、こうした対策方法はネットユーザーの「基本動作」。徹底を繰り返し呼びかけることは有意義ではあるが、抜本的な解決方法ではない。

独自の2段階認証システムにも課題がある。まず設定方法が非常に複雑だ。

ソーシャルメディアなどでは、ウェブブラウザーで2段階認証の設定をした後「スマホからGメールにアクセスできなくなった」といった内容の書き込みが多くみられる。スマホのGメールアプリからアクセスする場合などは、2段階認証とは別に「アプリ固有のパスワード」を生成して入力する必要がある点に注意したい。

2段階設定さえしておけば万全とも、現時点では言い切れないようだ。昨年末ごろ、ミニブログツイッター上では「2段階認証システムを設定していたのにアカウントを乗っ取られた」とするツイートがみられた。グーグルにもユーザーからのレポートが届いており「詳細を調査中」(広報)としている。

Gメールだけでなく、クロームもセキュリティーを高めるよう設計されている。1つのタブに不正プログラムが入り込んでも、他のタブにはその影響が及ばないよう"砂場のように"閉じ込める仕組みである「サンドボックス」などがその一例だ。

しかし4日には、グーグルクロームで動画サイト「ニコニコ動画」の一部やピクシブ百科事典などが「攻撃サイトとして報告されている」などとして遮断される現象が起こった(現在は復旧)。同社クロームプロダクトマネージャーのケンジ・バウ氏は「原因を調査中」としているが、今回の現象は、セキュリティーを高める工夫が逆に作用してしまった可能性がある。

説明会でデイビス氏は「今後も最高のサービスを提供すべく努力を続ける」とセキュリティー強化に取り組むことを強調した。「最大手」だからこそ狙われるのは、マイクロソフトのOS「Windows(ウィンドウズ)」ユーザーを狙う不正プログラムが後を絶たないのと同じ構図といえる。悪意の開発者とのいたちごっこは、グーグルの宿命でもある。

(電子報道部 富谷瑠美)

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