2019年6月19日(水)

撤退一転、電池の有力企業へ名乗り 東芝の河津部長
編集委員 滝順一

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2010/7/7 7:00
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東芝は、急速充電に適した独自開発のリチウムイオン電池を商品化し、自動車用電池市場に打って出た。ホンダの電動バイクに採用が決まったのに続き、三菱自動車も電気自動車に採用すると報じられた。「SCiB(スーパーチャージイオンバッテリー)」と名付けた電池の特徴などを東芝の社内カンパニーである電力流通・産業システム社の河津象司SCiB事業推進統括部長に聞いた。

ホンダの電動二輪車「EV-neo」。足元部分に充電池が搭載されている(4月13日、埼玉県和光市)

ホンダの電動二輪車「EV-neo」。足元部分に充電池が搭載されている(4月13日、埼玉県和光市)

――商品名からして充電に強みがあるのですね。

「急速充電ができる電池として開発したが、特徴の第一は安全性にある。パソコンや携帯電話の電池が発火、破裂した事故があったが、自動車など大きな電力を使う商品に応用するにあたって同程度のリスクがあったのでは使いにくい。自動車などは使用条件が過酷だ。安全性をきっちり確保したうえで、急速充電や長寿命、低温特性、高入出力、大きな実効容量などの特徴を持たせた」

――安全実現はどのように。

「負極の材料にチタン酸リチウムを使う。一般に使われている炭素に比べ、燃えにくい材料だ。炭素が発熱し燃え始める250度くらいでも燃えない。また、仮に電池内部でショート(短絡)が起きた場合、この電極はリチウムイオンが流れ出るにつれて、次第に高い電気抵抗を示すようになる。このためショートによる放電が大電流にならず、急激な放電と過熱を防げる」

――過去の電池の発火事故は、正極と負極を分ける膜(セパレーター)に穴があいた結果だと聞いています。穴が開く原因は、製造工程で金属片が混入する、あるいは、充放電のプロセスを繰り返すうちに電極に金属リチウムが析出してセパレーターを傷つける結果であることが多いようです。

「SCiBの負極は、リチウム金属が析出しにくい点が特徴だ。析出は、一般に急速充電時や、冷えた状態で使う場合に起きる。専門的になるが、チタン酸リチウムは炭素より負極の電位が高い。これが、析出が起きにくい理由だ。急速充電や低温での使用で有利な半面、逆に電池の電圧は既存のリチウムイオン電池が3.6ボルトなのに対し、2.4ボルトと小さくなる。電圧を高くするにはたくさん直列でつなぐ必要がある」

「一般にリチウムイオン電池は、繰り返し使うと次第に容量が減るのが課題だが、この電池は6000回の充放電を繰り返しても容量は90%にまでしか減らない。容量が80%あれば寿命のうちに数えるのが通常なので、この電池なら1万回繰り返しの寿命が保証できる。電気自動車に十分に使える性能だ」

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