2019年6月20日(木)

水素を液体化、体積500分の1に 千代田化工建設の新技術を聞く
編集委員 滝 順一

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2013/8/8 7:00
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――コスト面での課題は。

「新エネルギー産業技術開発機構(NEDO)が5年ほど前に行った試算では、圧縮水素ガスをタンクローリーで水素ステーションまで供給するとコストは1立方メートル当たり約85円(水素の原価は約15円)ほどになる。このうち50円以上が圧縮にかかる経費だ。圧縮にかかるコストがなければ価格は3分の1程度になる計算だ。私たちはいま1立方メートル当たり30円で提供できると考えている。また発電に使った場合、大量輸送による輸送費節減や、脱水素化に必要な熱をゴミ焼却場から安価に入手できるなどの条件を前提とすれば、LNGや石炭火力と遜色ないコストで発電できる。将来、CO2の排出に規制がかかれば、水素が有利になるかもしれない」

■取材を終えて
 「ゲームチェンジング」という岡田さんの言葉が印象に残った。水素は資源量にほとんど限りがないといっていいしクリーンなエネルギーだ。期待も大きいが、体積が大きく爆発の危険性があり扱いが難しい。原子力発電所事故の「水素爆発」という悪いイメージもある。それが脱水素化触媒というひとつの発明で、まったく事情が変わってくる。
 さらに目を開かされたのは、天然ガスなどから水素をつくる際に生ずるCO2を資源ととらえる視点だ。CO2を地中に埋めるCCSはとてもコストのかかる手法だが、埋めたCO2はいつの日か取り出して、再び水素と合わせれば、化学産業の資源になる。石油がなくなっても合成繊維や樹脂などの石化製品がつくれる。
 潜在力のある技術だが、課題はこれをネタに国際的なエネルギービジネスを立ち上げる構想力や求心力が千代田化工や日本の企業にはたしてあるかだろう。せっかくの機会を逃してはならないと思う。

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