2019年6月17日(月)

水素を液体化、体積500分の1に 千代田化工建設の新技術を聞く
編集委員 滝 順一

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2013/8/8 7:00
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――どのような形で実用化を考えていますか。

「まず想定しているのは、水素を大量に製造・輸送するサプライチェーンだ。産油・産ガス国で天然ガスや石油の随伴ガスから水素を生産し、MCHにしてタンカーで日本など消費国に大量輸送する」

「水素製造時には二酸化炭素(CO2)が生ずるが、これは油田に押し込んで石油増進回収(EOR)か、炭素回収・貯留(CCS)に使えばよい。CO2はいまは廃棄物扱いだが、化石資源が枯渇する将来には貴重な炭素資源になるはずだ。消費国に運んだMCHは脱水素化して水素を化学工業や発電向けに供給する。普及期を迎える燃料電池車向けへの供給も可能だ」

「もう少し将来を見通せば、風力や太陽光など再生可能エネルギーを使って水素を生産して利用、CO2を排出しない低炭素社会づくりにつなげたい。水素は天然には存在しない2次エネルギーで、その点は電気と同じだ。太陽、風力などどんな1次エネルギーからでもつくれる究極のエネルギーだが、大量に効率よくためる技術がないことには基幹エネルギーにはなれない。SPERA水素はそこを可能にしたという意味でゲームチェンジングな技術だ」

■3年以内に実用化、自社の事業拡大

――水素は既存の火力発電所で燃やせますか。

「およそ70%くらいまでなら天然ガスなどに混ぜて燃やせる。混ぜた分だけCO2の排出を減らせる。80%以上になると水素は燃焼温度が高いので特別な燃焼器やタービンが要るだろう」

――横浜の研究所(新子安オフィス・リサーチパーク)に建てた実証プラントに見学者が押し寄せていると聞きますが。

「デモプラントは毎時50立方メートルの水素をMCHに固定化、脱水素化を繰り返す。プラントには特殊な素材を使わなくてもいいし、ガスの形で貯蔵しないので爆発の恐れも少ない。実際に見てもらうのがいちばんで、国内外から様々な見学者に来ていただいている」

「先日はパリの国際エネルギー機関(IEA)で水素技術のロードマップをつくる会議に呼ばれて、説明をした。大量貯蔵・輸送技術は世界でも千代田化工の技術だけだと評価された」

――千代田化工として、この技術をどう生かすのですか。

「エンジニアリング会社として液化天然ガス(LNG)基地の建設などを生業としているが、非常に好不況の波が大きな業界だ。新技術を武器に新しいエネルギー会社として事業の拡大ができると考えている。自らがプレーヤーになる。無論、千代田化工だけでは水素サプライチェーンはつくれないので、商社や海運会社、化学会社、それに産油国などと組んで展開していく。3年以内に実用にもっていきたい」

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