税金を一切使わず建設した「世界で最も橋脚が高い橋」

2012/1/5付
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2011年11月に施行された改正PFI(民間資金を活用した社会資本整備)法で、日本でもインフラ整備に「コンセッション」と呼ぶ新たな方式を使うことが可能になった。事業運営権の譲渡を受けた民間企業が自ら資金を調達してインフラを建設・運営する仕組みだ。

16世紀にコンセッション方式を世界で初めて導入したと言われるフランス。「世界で最も橋脚が高い橋」として知られる同国のミヨー高架橋も、コンセッション方式で建設・運営されている。

コンセッション方式で建設されたフランスのミヨー高架橋。橋のデザインは、英国のミレニアムブリッジなどを設計した同国の建築家、ノーマン・フォスター氏が手掛けた(写真:日経コンストラクション)

コンセッション方式で建設されたフランスのミヨー高架橋。橋のデザインは、英国のミレニアムブリッジなどを設計した同国の建築家、ノーマン・フォスター氏が手掛けた(写真:日経コンストラクション)

ミヨー高架橋は、地面から主塔の先端部までの高さが343m。東京タワーよりも高い。建設費は、料金所も含めて約4億ユーロ(約420億円)。これほど大規模なプロジェクトにもかかわらず、コンセッション方式を導入しているので、税金は一切投入されていない。

2004年12月に開通した。事業運営権を譲渡された民間企業が、契約期間が終わる2079年まで有料橋事業を運営する。完全な独立採算制で、建設や維持管理、運営の費用はすべて料金収入で賄う。

フランスの高速道路では、複数の路線をまとめて一つの事業会社が運営しているケースが多い。この場合、条件が異なる複数の道路にリスクが分散され、全体のリスクは低くなる。ミヨー高架橋では、ほかの道路で収益を補完できないので、契約期間を75年と長くすることでリスクを分散した。

乗用車の通行料金は、繁忙期(7月~8月)が8.2ユーロ(約860円)、それ以外は6.4ユーロ(約670円)だ。料金は原則として事業会社が自由に決められる。料金の改定に当たって、収支などを国に報告する義務があるが、上限は設定されていない。

仮に事業会社が大きな収益を上げたとしても、「もうけすぎ」にはならないようにする契約上の仕組みもある。一定の収益を上げて、当初の建設投資の償却が終われば、国はコンセッション契約を打ち切る権限を持っているのだ。

 日経コンストラクション誌では、財政難のなか新局面を迎えた欧州のインフラ整備について取材した。上記のミヨー高架橋も、同誌2011年12月26日号の海外特派報告「英仏が挑むインフラ再建」で詳しくリポートしている。

(日経コンストラクション 青野昌行)

[ケンプラッツ 2011年1月5日掲載]

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